Up 騙し騙される 作成: 2024-04-20
更新: 2024-04-20


    現代人の<生きる>は,<商品経済で生きる>である。
    商品経済は,<サービスを売って金を得る>が循環するシステムである。
    <サービスを売って金を得る>が循環するためには,必需品でないものも売れるのでなければならない。
    無くて済むものを買わせようとするのは,無理がある。
    <無くて済むものを買わせる>は,<騙して売る>になる。

      経済学のテクストのはじめに出てくるのが「需要供給曲線」だが,これが当てはまるのは必需品の場合で,それも「まあまあ当てはまる」の程度。
      商品経済では,需要はPRでつくられる。


    最近トピックになっている「サプリ」(註) なんかは,これのわかりやすい例になる。
    医薬学的実証試験を課せられていないので,「体に良い」を勝手に言うことができる。
    そしてひとは生理学的な事柄にはまったく無知なので,「体に良い」に簡単に騙される。

      但し「サプリ」は,医療と比べれば,ぜんぜん罪の無い部類。
      医療は,随意にひとを顧客にできる立場を得ている。


    <騙して売る>は,労働力商品でもはっきりしている。
    中身を盛って自己PRし,雇用側に媚びを売る。


    <騙して売る>は,よいとかわるいとかの話ではない。
    商品経済で生きるとは,これをすることなのである。
    ひとは速やかにこれに慣れ,これの技能を身につけていくことになる。



     註. 読売新聞, 2024-04-19