Up | 同調圧力 | 作成: 2024-04-23 更新: 2024-04-23 |
ひとはふつう,複数の共同体に属している。 共同体では,員に同調圧力がかかる。 実際,同調圧力が共同体を保っている。 員が同調の求めを無視・拒否すれば,共同体は崩壊するわけである。
同調圧力は,漠然とあるわけではない。 各員が同調圧力を保つように行動していることが,「同調圧力」の内容である。 先ず,共同体の存在を正義にして,自分を正義の番人のように見せようとする者/一派がいる。 そして,彼らが唱える正義に,他の員が黙して従う。 共同体は,員が<正義の番人>と<衆愚>のどちらかにつき,<正義の番人>についたものは<正義の番人>の役割を,<衆愚>についた者は<衆愚>の役割を,それぞれ果たすのである。 <正義の番人>・<衆愚>は,役割である。 <正義の番人>についているからといって,正義を信じているとは限らない。 <衆愚>についているからといって,知的に劣っているとは限らない。 一方,ひとは状況に適応する。 <正義の番人>についているのに正義を信じていないのは,ぎくしゃくがある, <衆愚>についているのに劣っていないのは,ぎくしゃくがある, そこで,<正義の番人>についた者はだいたいが正義を信じる者になり,<衆愚>についた者はだいたいが劣った者になる。 共同体の方向は,<正義の番人>の一声で決まっていく。 <衆愚>は黙るだけだからである。 いまは,コンプライアンスでガチガチの時代である。 こうなるのは,<正義の番人>たちは,高揚して不正義探しを競うというものだからである。 特に,彼らは<正義警察>になる。
<正義の番人>が高揚し出すと,共同体は牢獄になる。 この牢獄を終わらせるものは,時間しかない。 即ち,ひとが牢獄にすっかり参ってしまうまでの時間である。
なぜ,すっかり参ってしまうところまで行かねば,終わらないのか? ひとは正義の牢獄に入ることを,はじめは「正義の戦い」と定め,高揚してしまうからである。 そして,自ら進んで「正義の戦い」に唱和したり,正義警察をやったりしてきたので,引っ込みがつかなくなるからである。 共同体が牢獄になるのは,ひとが正義を批判できないからである。 ひとは正義の声に屈するとともに,自分でも正義を言ってひとを黙らせようとする。 正義とは,正義につけばどんな者もいちばんになれるというものなのである。
正義をこのようなものに思わせる共同体の装置が,学校であり,学校の外ではマスコミである。 大学にもだいぶ前から「倫理・人権」科目が必修科目として入り,正義は批判するものでなくなった。 かくして,正義の牢獄を牢獄と思う者も無くなるというわけである。 |