Up | 歴史の定型──「瀬戸際・断末魔」 | 作成: 2024-06-20 更新: 2024-06-20 |
人間の歴史の場合は,共同体の分化と絶滅である。 この歴史のイメージは,「生物種の系統樹」である: |
歴史学は,進歩史観が長らく主流であった。 アフリカ諸国などを「後進国 (発展途上国)」と呼ぶのは西欧諸国を先進国と定めているわけであるが,これが進歩史観である。 進歩史観は,共同体 (国・地域) はいろいろであるがそれらの歴史は「進歩」の観点から共約できる,という考えである。 しかし,人間の歴史に対する「生物種の系統樹」のイメージは,両者の歴史は別の門に属するというイメージになり,「進歩」の観点から共約するのは間違いということになる。 一方,共同体の分化・絶滅の歴史は,どれも同じことの繰り返しであるように見える。 特に,人間は何にも変わっていないように見える。 繰り返される「同じこと」,それは何か? 「瀬戸際・断末魔」である。 共同体は,商品経済が興ると,非食糧生産者 (貴族・市民) の数を増やしていく。 この数は,食糧が絶対的に足りなくなるまで増える。 これが共同体の「瀬戸際」である。 そして,共同体は必ず潰滅的食糧不足の時を迎える。 これが共同体の「断末魔」であり,ここに共同体は分化するか滅亡するかになる。 日本はいま,「少子化」を危機だとして,「生めよ増やせよ」キャンペーンに躍起である。 しかし,食糧を外国頼みにしている身としては,「口を減らせ」キャンペーンの方が当たっている。 実際,食糧輸出国は,過剰・無際限な生産のために国土・国の海を荒廃させている。 商品食糧は,生産量の多いことが収入の多いことなので,過剰・無際限な生産になるのである。 そして,食糧生産は自然の機嫌次第。 こういうわけで,大凶作はいつも可能性がある。 食糧輸出国も,大凶作のときは「自国ファースト」になる。 外国商社がいくら高い買い値をつけても,食料輸出を禁じる政策をとる。 日本は,外国からの食糧輸入が駄目になっても,「断末魔」とはならない。 東京一極集中が大きく禍いすることになるが,まだ自然に恵まれている。 しかし,人口増加が激しくしかも国連の食糧援助が頼みの国・地域は,「断末魔」になる。 分化か滅亡になるというわけである。 |