Up 国際比較──「医療崩壊」の騙しを知る法 作成: 2021-01-04
更新: 2021-01-04


    学術には「比較」という方法論がある。
    「己の同定は,他との比較」の考え方である。

    ひとは「比較」の方法論に馴染みが薄いので,外国の情報が入ってきても,これを自国の状況と比べることができない。
    「自国は自国,外国は外国」で思考停止して,終わりとなる。


      読売新聞, 2021-01-04
    英感染 5日連続5万人
    コロナ変異種 入院患者も急増
     英政府は2日、新型コロナウイルスの1日あたりの新規感染者が過去最多の5万7725人に上り、5日連続で5万人を超えたと発表した。 感染力の強い変異種の流行が止まらず、1万人台だった昨年12月上旬から急増が続く。 入院患者も2万人超と春の流行時を上回り、医療は逼迫している。
     ‥‥‥

    「5日連続 5万人超え」で,「入院患者 2万人超」。
    そして,この数字でもまだ「医療逼迫」であって,「医療崩壊」ではない。
    そこで日本人は,本来ならつぎの思いが持たれるべきなのである:
      「日本の陽性即入院の制度は,おかしくないか」
      「日本の専門家・マスコミ・行政は「医療崩壊」を殺し文句にしているが,この声に易々と服してきたことで,どれだけ酷い目に遭っているか」


      同上
    経済重視「ただの風邪」
     政府発表によると、ブラジルでは2日現在、新型コロナの累計感染者数は世界3位の約771万6000人、死者数は米国に次いで2番目の約19万5000人に上る。
     経済重視でウイルスを「ただの風邪」と呼び、外出制限などの規制に否定的なジャイル・ボルソナロ大統領は、昨年7月に自らも感染した。 閣僚級の約半数や上下両院の議長、最高裁長官ら国の中枢での感染者も相次ぐ。 欧米などに比べて政府の規制は緩く、これまで、主要都市で大規模なロックダウンは一度も実施されていない。

    読売新聞記者は,「ざまあねえや」のつもりでこの記事を書いているわけである。
    しかし,「大統領はじめ,閣僚級の約半数や上下両院の議長、最高裁長官ら国の中枢での感染者が相次ぐ」は,「ただの風邪」を自分たちの身を以て知らせているということである。
    「ただの風邪」アピールは,これが正解の形なのである。



    傑作は,中国である。
    中国は,死亡数累計をつぎのように発表してきている:
      2020/4/1 まで:3312人
      2020/5/1 まで:4633人
      2020/6/1 から 2021/01/01 まで 4634人
    もちろん,こんなわけはない。
    よくもぬけぬけと言うもんだ──である。
    しかしここは,つぎのように読むところである:
      中国は,「感染者・死亡者をほじくることはしない」という方法で,
      新型コロナを「ただの風邪」にした。
    このおかげで,中国は経済を損なわずに済んだ──実際,成長さえ実現した,
    そして,新年もいつもの賑やかな盛り上がりとなったわけである。