Up 国債引受規制撤廃主義 作成: 2020-04-28
更新: 2020-04-28


    「補償・一律給付──(かね)は無尽蔵」で見たように,日銀の国債直接引受のトリックをつかうことで,金はいくらでもつくれる。
    翻って,金とは所詮こんなもんだという考え方が立つ。

    この考え方に()くと,国債引受に対する規制は,財政にとって障害以外の何ものでもない。
    そこで,規制を撤廃しようとなる。

    安倍晋三は,もともとこの考えに立つ者である。
    彼のいまの「景気最優先」政治も,日銀の国債引受が中核ツールになっている。
    ただしこれができるためには,日銀総裁は「国債引受」に対する考えを同じにする者でなければならない。
    こうして登用されたが黒田東彦というわけである。


      読売新聞, 2020-04-28
    国債購入の上限撤廃
    日銀,追加金融緩和
     日本銀行は27目、金融政策決定会合を開き、新型コロナウイルスの感染拡大で景気が厳しさを増していることを踏まえ、追加の金融緩和策を決めた。
    長期国債を買い入れる「年間80兆円をめど」の上限を撤廃し、制約なく買い入れる。
    社債とコマーシャルペーパー(CP) の買い入れ枠を約3倍に拡充し、企業の資金繰りを支援する。
    積極的な経済対策を講じる政府と歩調を含わせ、政策を総動員する姿勢を打ち出した。
     黒田東彦(はるひこ)総裁は決定会合後の記者会見で、「政府が大規模な財政・経済政策を打っている。日銀も金融(緩和)政策をかなり大幅に強化した」と強調した。
     日銀は声明文に「上限を設けず、長期国債、短期国債ともに、当面、さらに積極的な買い入れを行う」と明記し、市場に潤沢に資金を供給する。
    黒田氏は「80兆円を超えても (長期国債を) 買い得る」と語った。
     日銀は短期金利をマイナス 0.1%、長期金利は0%程度に操作する超低金利政策を続けている。
    政府は新型コロナウイルスの感染拡大を受け、事業規模117兆円の経済対策を決めた。
    国債の発行は増える見通しで、今後、金利が上昇する可能性がある。
    日銀は積極的に国債を買い入れ、超低金利を安定させたい考えだ。
     ‥‥‥


    休業補償・一律給付等で,政府は 39.5 兆円の財政支出をすることになった。
    この金は,国債を発行し,これを日銀に直接引き受けさせるというやり方でつくる。
    この度は額が大きくなるので,国債購入上限の取り決めに抵触する。
    そこで,「上限撤廃」を決めたというわけである。

    上の記事は,日銀がいかにも民間から国債を購入するような書きぶりであるが,これは騙しである。
    「日銀は積極的に国債を買い入れ、超低金利を安定させたい考えだ」とは,よくも吹いたものである。
    低金利政策は,ゼロ金利にまで至ったところで破綻している。
    政府はずっと,金利操作なんぞによってではなく直接の<金づくり>で,民間の金回り (「景気」) をつくり出しているのである。

    騙されてはいけない。
    日銀が国債を購入するのは,政府から直接である。