Up 常在微生物 作成: 2018-08-19
更新: 2018-08-19


    生物は,新陳代謝する系である。
    自己組織化する系である生物の自己組織化は,新陳代謝である。

    新陳代謝は,老廃物を出す。
    老廃物は,カラダから除去されねばならない。
    新陳代謝する系は,老廃物除去のしくみが伴っている系である。

    動植物の老廃物除去のしくみは,つぎの3つである:
    • カラダの外に放出
    • カラダに付着させた状態で
      • 物理的風化
      • 常在微生物による消化


    こうして,ヒトのカラダには,常在微生物がいる。
    「常在微生物をもつ」は,「生きている」の含意である。

    ヒトの常在微生物は,ヒトのカラダの老廃物を餌とするために棲んでいるだけだが,副次的につぎのようなメリットを現す:
    • 拮抗的平衡な生態系を実現していることにより,外からの病原菌の侵入が阻止される
    • 宿主の免疫系を刺激し,免疫応答能力や感染抵抗性を付与
    • ある種の常在微生物 (特に腸内細菌) の代謝物は,宿主が利用
      (項目は,『戸田新細菌学』から)


    常在微生物の分量を知っておくことは,常在微生物の重要性を認識するのに役立つ:
    • 皮膚1cm2 当たりの菌数は,通常 103〜104 程度,多いところでは 105
    • 糞便の重量の約 1/3 は細菌で占められる。
      大腸における細菌叢は糞便のそれとほぼ同じで,27菌属,101菌種以上,合計して1014個 (100兆個) に及ぶ
      (数値は,『戸田新細菌学』から)