Up 「霊魂<わたし>」 作成: 2015-01-19
更新: 2016-03-31


    <このわたし>とは何か」の問いは,つぎの問いである:
      時空間のこの一点に,他ならぬこの一点に,<このわたし>である個体が現れた。
      いろいろある生物個体のうちのこの個体,他ならぬこの個体が,<このわたし>となった。
      どんな機構によって,こうなったのか?

    この問いの気持は,こうである:
      <このわたし>の存在があまりに特別過ぎて,居心地が悪い。
      <このわたし>出現の機構がわかって,落ち着きたい。

    わたしの一回性の不思議は,独自存在として<わたし>を立てる発想に,ひとを向かわせる。
    カラダと<わたし>の二分法を立てるわけである。

    カラダと<わたし>の二分法は,わたしに対するつぎの捉えに進む:
      《わたしは,<わたし>が仮のカラダに棲んでいるところのもの》

    さらに,この想いは,カラダと<わたし>の実際的切り離しの想いに向かわせる。
    即ち,つぎのような想いが持たれるというわけである:
      「幽体離脱」
      「のりうつり」
      「つぎに生まれ変わるときは‥‥」

    仮のカラダに棲んでいる<わたし>の存在身分は,「霊魂」である。
    こうして,わたしの一回性の不思議は,「霊魂」の想いに向かわせる。