Up <個>とは何か : はじめに 作成: 2017-10-11
更新: 2018-05-01


    <わたし>は,一つの<個>の上に一つだけ考えられるものである。
    <個>が無い生物には,<わたし>は存在しない。

    クローバーは,地下茎でつながっており,地下茎が切れることにより,それぞれ生きられる部分が複数できる。
    カワヤナギは,枝を折って土に挿せば,木に成長する。
    クローバーやカワヤナギは,複数の可能的<個>が複合している(さま)である。──植物が不定形である理由は,これである。
    このようなものには,<個>を立てることができない。

    実際,個が措定できる生物は,動物である。


    動物は,文字通り,<動く>に本質がある。
    この<動く>は,生物一般の<カラダのシフト>とは区別される。
    生物一般の<カラダのシフト>は<自己組織化>の一内容である。──生物は自己組織化する系である
    一方,動物の<動く>は,自己組織化のダイナミクスでは実現されない。
    即ち,<動く>を実現するのは,中枢からの命令である。
    この「中枢」を「脳」と呼ぶ。
    よって,動物とは,脳をもつ生物のことである。
    ──ただし,<脳をもつ>は進化の中に現れてくるものであるから,これは<脳をもたない>から<明確に脳をもつ>までのグラデーションになる。

    動物は,分身しない。
    脳の分配ができないからである。
    脳の命令を以て動く動物は,定形になる。
    脳の命令は,組織の一定形を想定して成り立つものだからである。

    翻って,<個>が立つ生物は,脳をもつ生物である。
    そしてこれが,動物だということである。


    本論考は,<個>と<わたし>を,「意識」のことばを用いて,<個=意識>と<わたし=自意識>のように区別する。
    <個>であること自体は,<わたし>をもつことではない。
    実際,<わたし>をもつ<個>は,<同類との競争>を行動する個である。