Up 常在微生物の保守 : 要旨 作成: 2022-01-31
更新: 2022-01-31


      Montgomery & Bikle (2015), pp.196,197
     ‥‥‥ 私たちのマイクロバイオームを混乱させれば、困ったことになる ‥‥‥
    共生生物、樹状細胞、T細胞受容体のあいだで行なわれる高度で厳密なやり取りが、撹乱されてしまうだろうからだ。
    そして、私たちにとって一番起きてほしくない事態は、相当な威力を持たされた免疫系が、本来守るはずの身体とけんかしてしまうことだ。
     免疫系は微生物を殺すために進化したと、かつて私たちは考えていた。
    それが今では、微生物が免疫系のはたらきを助けていると考えられるようになっている。‥‥‥
     つまり、私たち自身をみずからのマイクロバイオームの世話係として捉えなおし、小さな仲間たちに十分な栄養と、すみかと、安全を与えつづけることが必要なのだ。
    なぜなら彼らが元気なら、私たちも元気だからだ。
    それはただの自然の隠れた半分ではない。 私たちの免疫系のもう一本の腕であり、腰かけの脚のように、どの一本が欠けても安定しないのだ。
    それでもなお医学界は、19世紀の微生物学の宣言書──細菌論──に支配され、すべての微生物に今もおおむね敵対的な立場を取っている。



    引用文献
    • Montgomery,D.R. & Bikle,A. (2015) : The hidden half of nature ─ The microbial roots of life and health
        W. W. Norton Company, 2015.
        片岡夏実[訳]『土と内臓──微生物がつくる世界』, 築地書館, 2016.