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Montgomery & Bikle (2015), p.188.
そして面白いのが、根圏に棲息する細菌が病原体の存在を植物に知らせるのと似た活動が、大腸の中でも起きている形跡があることだ。
粘液層に棲む細菌は、内腔の病原体が粘液層に定着しようとすると、化学的メッセージによって大腸細胞に警報を鳴らす。
共生生物の中には有益なあまり、それなしでは人間が病気になるものがある。
病原体が免疫反応の引き金を引くことは昔から知られているが、共生生物が免疫系と相互に作用する──ときどきではなく、常に──ことも今では明らかになっている。
それどころか共生生物は免疫細胞に準備をさせ、訓練する上で、病原体と同じくらい大きな役割を果たしているようだ。
ある意味で、その役割はいっそう重要である。
と言うのは、共生生物は体内の炎症の全体的なレベルを調節する上で中心的な役割を果たしており、一方で炎症は人体のすべてが順調に動き続けるために必要であることを、マイクロバイオームの研究者は発見しつつあるからだ。
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引用文献
- Montgomery,D.R. & Bikle,A. (2015) : The hidden half of nature ─ The microbial roots of life and health
W. W. Norton Company, 2015.
片岡夏実[訳]『土と内臓──微生物がつくる世界』, 築地書館, 2016.
参考Webサイト
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