Up | 「CO2 排出削減技術」 | 作成: 2021-12-04 更新: 2021-12-04 |
これは,絵空事である: また例えば,「CO2を吸い込むコンクリート」 曰わく,
このコンクリートの CO2 削減に対する貢献は,すごいのか? 10年間の使用実績が,7,500kg の CO2 削減に相等すると言っている。 ところが,1世帯から 1年間に排出される CO2 の量だけで,4トン近い: 10年間で2世帯が排出する CO2 を削減したと自賛しているわけだ。 これは,「焼け石に水」を言う以前である。 また,CO2 7,500kg ということは,コンクリートが 7500/18 = 417 m3。 問われるべきは,このコンクリート 417 m3 が最終的に生産されるまでに,物と人を合わせてどれだけの化石燃料を燃焼に使っている計算になるのか?である。 スギとの比較も,珍妙なレトリックである。 これだと,木を植えるかわりにコンクリートを並べろという話になる。 しかも,科学的命題のようにこれを示すところは,"悪質" のレベルになる。 樹木は個体差・種差がひじょうに大きいのである。 妙なレトリックを簡単に信じてしまわないよう,「木が吸収する CO2 量」を自前で計算できるようにしておこう。( 註 ) 「CO2 削減技術」であると唱えているものを2例を挙げたが,一つは絵空事であり,もう一つは「焼け石に水」を言うはるか以前といったものであった。 実際,「CO2 削減技術」は,はなから化石燃料依存問題のソルーションになるものではない。 化石燃料依存のスケールは,「CO2 削減技術」のスケールとはぜんぜん桁が違うのである。 木にどれだけ炭素原子が含まれているかを,木の体積に対する炭素重量で表す。 樹種によって,つぎのようになる:
そこで,木の体積の求め方だが,http://www.green-site.com/manual/zyumokuzyuuryou.htm に──「建築空間の緑化手法, 1988, 彰国社 より」ということで──樹木の重力計算式が示されている:
H:樹高(m) k:樹幹形状係数 (概算の場合 0.5) w:樹幹の単位体積重量(1100〜1500kg/m3) p=枝葉の多少による割合 (0.2〜0.3)
k:鉢の形状係数 w:土壌の単位体積あたり重量 例えば,直径 20cm,樹高 10mの木の体積は──d=0.2,H=10,k=0.5,p=0.2 を kπ(d/2)2 H (1+p) に代入して──約 0.2 m3。 これに含まれる炭素重量は,
クヌギ:668 x 0.2 = 133.6 kg
クヌギ:13.36 kg CO2 の分子量は C の分子量の (12 + 16 × 2) ÷ 12 = 3.67 倍。 よって,1年間の CO2 吸収量は,
クヌギ:49 kg 随分と雑駁な計算に見えただろうか? そう,樹木に関する計算はこんなもんである。 「CO2を吸い込むコンクリート」のコンクリートとスギ比較は,こんな雑駁な計算によるものを科学的命題 (定理) のように示しているのである。 しかも,体積に対する炭素重量比の小さいスギをわざと選んでいる観もある。 「"悪質" のレベル」と言った所以である。 |