Up 「水素燃料」の欺瞞 作成: 2024-04-18
更新: 2024-04-18


    ひとは,水素燃料をクリーンな燃料だと思っている。
    「ダーティーな化石燃料」に取って代わるべきものだと思っている。
    こう思うのは,こう思うように洗脳されてきたからである。

      東京都交通局/産業労働局「燃料電池バスの導入」,
    東京都は、エネルギーの安定供給の確保や脱炭素社会の実現に向け、水素エネルギーの普及に取り組んでいます。その中で、導入を進めている1つが「燃料電池バス(以下、FCバス)」です。
    "究極のエコカー" とも形容されるこのバスは、バスの車体上部に搭載された水素タンクに貯めた水素と空気中の酸素を、バスの中にある「燃料電池」で化学反応させて電気を生み出し、その電気でモーターを回して走行するバスです。
    エンジン内の燃料を燃焼させて走行するディーゼル車やガソリン車に対して、どれだけ運転しても CO₂ をはじめとする環境負荷物質を排出しません。


    ひとが簡単に騙されてしまうのは,「もとをたどる」という考え方が無いためである。

    水素燃料の従来の製造法は,化石燃料を燃やしてつくるというものである。
    これでは「クリーンなエネルギー」とはならない。
    水素燃料を「クリーンなエネルギー」と言うときは,水の電気分解で製造することを想定している。

    しかしこの製造法は,膨大な電力を消費する。
    いま膨大な電力を供給している発電所は,火力発電所がメインである。
    火力発電所の「火力」の意味は, 「化石燃料を燃やしている」。
    現状では,結局「水素燃料は化石燃料を燃やしてつくる」になる。


    ひとのほとんどは「水素エネルギー=脱炭素社会の実現」に騙されてくれるが,「もとをたどる」をしてくる者はやはりいる。
    そこで「水素エネルギー」プロパガンダは,彼らに対してはつぎの絵図を見せる:
経産省「次世代エネルギー「水素」、そもそもどうやってつくる?」から引用
    「向かう先はグリーンだ!」というわけである。

    しかしこの絵は,騙しである。
    「再エネ」は,膨大な電力を賄うものにはならないからである。
    実際「再エネ」で膨大な電力を賄おうとしたら,とんでもない自然破壊になる。


    膨大な電力を賄うことになるもの,それは原発である。
    「水素エネルギー」プロパガンダは,こっそり原発を隠している。

    水素エネルギーは,原発が込みである。
    水素エネルギーは,原発との連合で成立するものである。
    実際,「自然にやさしいエネルギー」「脱炭素」プロパガンダは,隠れた「原発」プロパガンダなのである。


    隠れた「原発」プロパガンダは,サブリミナル効果のように,効き目を現している。
    ひとは,既に無意識のレベルでは,原発をクリーンと思うようになっている。
    その思考回路は:
      原発は,化石燃料を要らなくする。
       ダーティーな化石燃料を要らなくするのだから,これはクリーンだ。

    実際,「処理水海洋放出」を聞いても,ひとはもう動じない。
    「処理水」は,ひとにとってクリーンなのである。
    ひとが「処理水」の言い方を用いるのは,「放射性物質汚染水」の言い方を既に嫌うようになっているからである。
    中国が日本産水産物の輸入を停止したが,これは「処理水」をますますクリーンなものにすることに役立った。 中国の対応に反発することは,「処理水はクリーンだ!」と思い込むことになるからである。


    こうして,「グレー, ブルー, グリーン」の絵は,本当はつぎのようになる:
    ここで「ホワイト」の表現は,ひとにとって放射線が無色透明であることから採った。

    いまは「再エネ・グリーン水素」でごまかしているが,やがてひとにとって原発がクリーンになることによって,堂々と「核燃料・ホワイト水素」を言えるようになるというわけである。