Up 太陽光発電の図体 作成: 2021-10-26
更新: 2021-10-28


    ひとは,「太陽光はただなので太陽光発電は経済的」と思っている。
    しかし太陽光発電のコストは,失敗コストを含めて計算するものである。

    失敗コストの最大のものは,採算が合わなくて企業が倒れたときに地元が被る損害である。
    地元は,後に残される広大な荒廃地を,ずっと背負(しょ)い込むことになる。


    太陽光発電は,企業がどのくらいの広さの土地を敷地に費やすことになるものなのか?
    例として,「北海道登別市北登別MS発電所」(プロジェクトボンド事業) を示す:
Google Map から引用



    「広大な荒廃地」とは,どんな問題か?

    ひとは,「人間が残した荒廃地には,やがて草が生え灌木が生え背の高い樹木が伸び,林や森に回復する」というふうに思っている。
    林や森の形成に有利な方向に循環するのを「正のスパイラル」と呼ぶことにすれば,ひとは「負のスパイラル」もあることを知らない。

    上の登別の例だと,太陽光パネル設置のために樹木を伐採しているその山は,火成岩の上に土壌が薄く積もっている山である。
    倒木を観察するとよくわかるが,根がひどく浅く横拡がりである。
    このような地勢は,一旦沙漠化すると,雨が降る度に土壌が流される。
    その流水は,さらに急流になっていく。
    これが周りの土壌を侵食していく。
    地震による地滑りが発生するようなことがあると,この循環はさらに加速されることになる。


    行政は,いまは,太陽光発電の新規事業には補助金をばらまくことを政策にしている。
    しかし,その後はもちろん事業者任せになる。
    「再生可能(永続)エネルギー」とは,事業が「再生可能(永続)」的ということではない。
    耐用年数に達した施設が更新される保証も無い。
    事業者は,経済原理で行動する者だからである。
    採算が合わなくなったとき,施設は捨てられ放置されることになる。

    一般に,建造物は,つくりっ放しになる。
    撤去に金がかかるからである。
    使わなくなった建造物は,放置されて廃墟になる。
    太陽光パネル廃墟が日本のいたるところに見られるようになるのは,そんなに先のことではない。