Up 弱者 : 要旨 作成: 2021-07-01
更新: 2021-07-01


    「社会的弱者が存在しない」の様相は,「平等」である。
    「社会的弱者」イデオロギーの実践は,不平等をつくる体制を倒し,平等の体制を実現することである。


    平等の体制とは,どのようなものか?
    そのようなものは存在するのか?

    存在する。
    例えば,サンマの群れ (群泳)。
    サンマの群れの中の個は,互いに区別がつかない。
    彼らは,平等である。

    この平等は,どんなシステム (ダイナミクス) になっているのか?
    それは,「同調」である。
    サンマの個は,つねに周りと同調しようとする。
    この結果が,個が互いに区別がつかないあの群泳になるのである。


    このシステムは,集団自殺のリスクを負う。
    したがってこのシステムを人間に適用しようとするときは,集団の形・進行方向の統制が必要になる。

    サンマの群泳は,形・動きが目まぐるしく変化する。
    これは,突出してしまう個が生じるためである。
    即ち,群れの外縁に押し出された個は,内に戻ろうとして方向を転ずる。
    この方向転換が,他の個の同調を呼び込む。

    そこで,集団の統制方法は,突出する個の粛清である。
    生け垣を定常にしたい者は,突出する枝葉をその都度切除する。
    これをやるわけである。


    この集団統制の役につくのは,「社会的弱者」イデオロギーの党──「平等」党──である。
    そして統制を実現する形は,独裁である。
    実際,粛清を行えるためには,独裁でなければならない。

    こうして,「社会的弱者」イデオロギーは,これが権力を獲得するときは一党独裁の粛清体制になる。
    ロシア,中国の共産主義革命がスターリン,毛沢東の大粛清・大殺戮へと展開するのは,構造的・力学的必然なのである。
    是非は無い。