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和田信一郎『土壌学』, 7.4.1. 農地に施用される有機物, p.111.
植物残渣などの堆肥化過程でおこる著しい変化のひとつに,C/N比の減少がある.‥‥‥
堆肥化の過程は,有機物を利用して微生物が増殖する過程である.
C/N比が低下するのは,生物体を構成する多糖類などがエネルギー源として利用され(二酸化炭素と水に分解され),窒素は微生物体構成物質の原料として再利用されるからである.
もし,C/N比の高い有機物をそのまま土に加えると,多糖類などをエネルギー源として急速な微生物の増殖が起こる.
この時に必要な窒素として,植物体に含まれていたものが利用されるだけでなく,土に存在する無機態窒素までが微生物体に取り込まれる.
この結果,肥料効果どころではなく,作物は窒素欠乏に陥ることがある.
この現象は窒素飢餓とよばれる.
植物体を堆肥化したのち農地に投入するのは,このような理由があるからである.
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