Up | 「引用」「転載」の区別の無意味 | 作成: 2008-01-26 更新: 2008-01-26 |
しかし,「公正な慣行」「引用部分の方が地の文より少ないという関係にないといけません」の言い回しにおいては,「メディアの時代的制約」の論点の考慮が抜けている。 また,「目的上正当な範囲内」「必要最低限の範囲」も,意味のないことばである。 紙メディアでは,引用は量が慎ましくなる。 なぜか? スペース・イコール・コストだからである。 空白 (空白行を含む) をつくることは,極力抑えられる。 引用の量をけちることは,受け手の側の誤解の余地を大きくすることである。 「公正な慣行」「引用部分の方が地の文より少ないという関係」が奨励されるべき理由はない。 そして,「最もおそれるべきは誤解である」の立場からは,「目的上正当な範囲内」「必要最低限の範囲」とは,十分な量のことである。 新聞の報道記事ならば,全文引用──すなわち転載──が「目的上正当な範囲内」「必要最低限の範囲」になる。 引用される側にしても,誤解を招くような少しの量の引用よりは,十分な量の引用がなされることを欲する。 では,新聞協会の引用についての見解が上のようになったのはどうしてなのか? とりあえず「使うな」にしておいて,相談があれば応ずるというようにする──これが上策,と考えたからである。 これは上策か? 「無断使用はダメ」は,効果においては「使用不可」と同じになる。 なぜなら,「無断使用しない」は単にことばであって,この形づくりはひどく複雑・面倒なものになる。 複雑・面倒なので敬遠される。 (コスト・ベネフィット比の問題!) こうして,「使われると損」に一律化するのは,「使ってもらうと得」を失くすことになる。 |