Up 悪い虫・善い虫 作成: 2008-01-11
更新: 2008-01-11


    社会を律しているのは,先ず,不文律としての倫理である。そして,法律がこれを補う。
    ネットワークも同様。
    ネットワーク犯罪を考えるためには,本来,先ず倫理 (不文律) のとらえができていなければならない。


    実際,ネットワークには,犯罪のためにつくられた虫 (悪い虫) の他にも,虫 (善い虫) が棲む。

    1. アプリケーションソフトのインストールでは,PCをソフトのベンダーと通信させる虫 (スパイウェア) が同時にインストールされる。
    2. ネットワーク管理者は,「虫使い」である。

    機能的には,悪い虫と善い虫を区別するものはない。 ──実際,善い虫は悪い虫に転じる。
    虫の悪い・善いは,虫使いの悪い・善いのことである。
    しかし,虫使いの「善い」は,「信用されている」である。 そして,この信用には何の根拠もない。 ──虫使いの悪い・善いも,つきつめると自己撞着に陥る。

    1. アプリケーションソフトのインストールで起こる「寄生虫感染」が「犯罪」とされないのは,単にユーザがベンダー (「虫使い」) を信用しているからである。 そして,この信用には何の根拠もない。
    2. ネットワークにおけるいちばん怪しい「虫使い」は,ネットワーク管理者自身である。


    そしてさらには,虫使いの存在さえも立てられなくなる

      「ネットワークを寄生虫感染させる」をネットワークへの攻撃/侵入 (「クラッキング」) によって行えば,これは不正アクセス禁止法が規定するところの犯罪行為になる。
      クラッキング罪は住居侵入罪に相当させたものであるが,住居侵入罪は住居侵入するのが人だから成り立っている。一方,クラッキングはプログラムの行うことである。
      <プログラム -対- これを動かす者>の対応は,つねにつくれるのか? 否。伝染性の自動プログラムのすることであれば,それはできない。