Up 「教育情報システム」による教育侵害 作成: 2008-01-16
更新: 2008-01-16


    「教育情報システム」の運用/責任担当を任されると,ひとはこれを「教育管理システム」のように受けとめ,そしてそのように運用し出す。
    組織もこれに慣れていく。

    この教育管理には,正義感が伴っている。
    すなわち,「モラル意識の乏しい・能力の乏しい教員を,正しい方向に導く」という正義感である。
    「教育情報システム」は,「モラル意識の乏しい・能力の乏しい教員を正しい方向に導くシステム」の意味になる:

      「正しい方向」を現すようにしたのがこのシステムであり,そして
      「正しい方向をシステマティックに示す」がこのシステムの方法論である。


    この教育管理は,教育侵害になる
    大学の教育の本位は,<学問を教える>にある。
    そして,<学問を教える>は<システマティック>とは根本的に合わない。


    システマティックでないものは,だらしなく見える。
    人として「モラル意識が乏しい・能力が乏しい」に見える。
    よって,<学問を教える>者は,「モラル意識が乏しい・能力が乏しい」者に見える。
    「教育情報システム」が「モラル意識の乏しい・能力の乏しい教員を正しい方向に導くシステム」の意味になってしまうのには,このようにちゃんと理由がある。
    行政主導の教育有識者会議の経済界委員の目に大学教員がどうしようもなく愚かなものに見えるのには,このようにちゃんと理由がある。


    「<学問を教える>は<システマティック>とは根本的に合わない」「<学問を教える>は,だらしないことである」が,大学の中でも理解されなくなっている。

    「教育情報システム」でやってならないことは,教育をシステマティックにすることである。 教育をシステマティックにすることは,教育侵害とイコールになるからだ。 ──このことがわからなくなっている。

    実際,教育をシステマティックにすることを推進しているのは,教員自身である。 (例:シラバス検閲)
    これがいちばんの問題であり,「教育情報システム」による教育侵害の問題の核心である。