Up 「情報システム管理者」という存在態の特殊性 作成: 2008-02-17
更新: 2008-02-17


    ネットワーク管理者は,ネットワーク管理の全能者である。
    特に,ひとに知られることなく,ユーザの<私>に入り込むことができる。
    スパイ・検閲も,思いのままである。
    これは,組織における個人の在り方として,既に「越権」である。──越権的在り方。

    もっとも,組織の中に越権的存在をおくこと自体は,普通にある。
    そしてその場合,複数の相互監視とか監査制度を,くふうして使っている。
    しかし,この方法は,ネットワーク管理には馴染まない。

    実際,ネットワークは,つぎのこと(だけ)で保つ (これ以上のものは求められない):

      組織の全員が「自分はネットワーク管理者を完全に信用していることになる」という認識をもち,ネットワーク管理者は「自分は組織全員から完全に信用されていることになる」という認識をもつ。


     例 : ユーザは,自分のプライベートなメールをネットワーク管理者に委せる。 この「委せる」には,つぎの2通りがある:
     a. ネットワーク管理者が私信を覗こうと思えば覗ける者であることを,知らない。
     b. ネットワーク管理者が私信を覗くような者でないことを,当てにしている。
    このうち,a はあってはならない場合である。