Up 責任追及主義 (「失敗=犯罪」) の社会風潮 作成: 2008-01-31
更新: 2008-02-15


    「コンピュータの人支配」は,事なかれ主義による本末転倒が積み重なってつくられる。 (悪者が「コンピュータの人支配」をつくるわけではない。)

    「コンピュータの人支配」をつくる事なかれ主義には,「仕事を面倒にしない (余計な仕事を抱え込まない)」とともに,「社会ネタになる失敗を発生させない (ひとから失敗を弾劾される羽目に陥らない)」がある。 したがって,責任追及主義 (「失敗=犯罪」) の風潮が強い時代には,事なかれ主義が強くなる。
    こういうわけで,「コンピュータの人支配」の形成については,失敗弾劾の社会風潮と重なってしまう不幸という面も,見ていかねばならない。

      註:責任追及主義 (「失敗=犯罪」) はつぎのような問題を孕む:
      • 病的
      • 責任主義が事なかれ主義に転ずる無責任
      • 「責任追求」のゼロサムゲーム (自分に返ってくる)
      • 「臆病」の社会


    実際,いまは責任追及主義の時代である。
    ──ここしばらく「改革」の時代であるが,「改革」の時代には失敗弾劾の風潮が強くなる:

      「改革」の時代は,コンプライアンスのスローガンが喧しい一方で,ひとを「偽」に走らせる。 「偽」とは犯罪や失敗の隠蔽のことである。
      隠蔽は,隠蔽の暴露を招く。
      暴露は,あら探し趣味に進む。
      失敗と隠蔽された失敗が区別されなくなる。
      失敗は直ちに非難される。

    そこで,失敗しないことが目的になる。
    失敗を招く危険要素の排除に一生懸命になる。

    失敗を招く危険要素とは,不確定性とか逸脱である。
    そこで,統制が起こる。
    コンピュータシステムは統制と相性がよい。
    統制にコンピュータシステム (のチューニング) が使われる。
    「コンピュータの人支配」である。


     註 : 失敗弾劾が流行りの時代には,余計のこと,失敗に臆病になってはならない。
    批判から逃げるのではなく,理不尽な非難には正論で切り返すということを根気強くやることが,だいじである。