Up ネットワークの「感染症」 作成: 2008-01-09
更新: 2008-01-13


    (ここでは,「ネットワーク」のことばを「ネットワークないしその中のコンピュータ」の意味で用いる。)


    「ネットワーク・セキュリティ」の中身は,「ネットワーク悪用の試みからネットワークを守る」対策である。
    ネットワークを悪用しようとする者は,いろいろな方法を講じてくる。 しかし,主要な方法はつぎのものである:

      ネットワークに虫を寄生させ,
      それを使ってネットワークを悪用する。

    ここで謂う「虫」は,プログラムである。
    ネットワークに寄生した虫は,ネットワークの内部に悪用可能な状態をつくる。 また,ネットワーク悪用の主体を兼ねるものもある。


    一般に,寄生虫に棲まわれカラダを蝕まれることは,病気の一つとされる。
    実際,「感染症」がこの病気の名である。

    ネットワークの「感染症」の場合,「感染」にはつぎの2タイプがある:

    1. 寄生虫が潜む誘いの餌を,食べてしまう
    2. 知らずに寄生虫を注射される (自然感染)

    ここで「知らずに寄生虫を注射される (自然感染)」とは,クラッキング (攻撃/侵入) の自動プログラムにやられてしまう結果として,寄生虫を体内に棲まわせられる場合を謂う。
    1, 2 を人体の感染性で喩えると:

    1. 大腸菌のついた野菜を食べる
    2. マラリア原虫を持つ蚊に刺されて,マラリア原虫が内に入る


    ネットワークの中に寄生虫を放つ目的には,つぎの2通りがある:

    1. ネットワーク悪用のエージェントとして使う
    2. テロ (愉快犯)

    A の場合は,寄生虫を放った者は同時に「虫使い」である。
    B の場合は,寄生虫を放ってそれで終わり。

      Winny を使って個人のコンピュータの内容をインターネット上に流すウィルスは,Bタイプである。


    タイプAの場合,寄生虫の行う仕事にはおよそつぎの3タイプがある:

    1. バックドア (主人が入って来れるように,内側からドアを開ける)
    2. 盗み見エージェント (ネットワーク内の情報を盗み見て,主人に知らせる)
    3. 兵隊ロボット (主人の命令が来たら,グローバルネットワークに散在している同類と同時一斉に,命令されたことを行う)


    なお,ネットワークの「感染症」は,多くの場合伝染病である。
    すなわち寄生虫は,ネット上に他の宿主を求め,自分のコピーを送り込もうとする。


    まとめ:
    寄生虫の仕事 感染の仕方 伝染性
    A. ネット悪用
     エージェント
    a. バックドア
    b. 盗み見
    c. 兵隊ロボット
    つぎの2通り:
     「誘いの餌」
     「注射」
    寄生虫の多くは,
    自分で宿主を開拓
    するタイプ
    B. テロ