Up 個人情報保護主義 作成: 2008-01-14
更新: 2008-01-14


    「無菌」をパラダイムとするセキュリティ主義にとって,個人情報保護主義は強力な味方になる。

    個人情報保護主義は,つぎの形で「ネットワークの感染症」の問題と関わってくる:

      コンピュータに寄生する虫の一種に,Winny を使ってファイルをインターネット上に流すものがある。
      流出するファイルが個人情報であるとき,これは「個人情報保護」の問題になる。

    個人情報保護主義は,「ゼロかイチか」の立場である。
    生徒の名前が書かれた紙が路上に落ちていれば,個人情報流出の責任問題が立てられ,マスコミの取り上げるところとなる。
    個人情報保護主義を前にしては,「そんなことはたいしたことではない」を言い出すような良識論は完全に封殺される。
    この「ゼロかイチか」が,「ゼロかイチか」をスタンスとする「セキュリティ主義」とぴったり合い,ネットワーク感染症問題のところでは「無菌」パラダイムとぴったり合う。

    Winny を使ってファイルを流出させる寄生虫への対策は,「Winny を使いたいなら,それ専用のコンピュータを用意せよ」が本来のものである。
    ところが,ファイル流出のりくつの話が面倒なものになるので,ファイルの一斉・一律管理の方向に論が進められる。


    個人情報流出には,盗み見タイプの寄生虫によるものも,可能性として考えられる。
    しかし,ここまで考えると,ネットに繋がったコンピュータでは仕事ができなくなる。

    良識論が興らねばならない。
    すなわち,個人情報保護主義を退け,個人情報保護を程度問題として論じる良識論。
    そして,問題をつぎの形に替える良識論である:「インターネットに繋がったコンピュータに入れてよいファイルと入れてはならないファイルの区別」「制限されたネットワーク (VPN) の導入」