Up 「病気にかかったらゼロから作り直す」は無理 作成: 2007-12-28
更新: 2007-12-28


    コンピュータのウィルス感染や不正侵入では,不正プログラムの埋め込みやファイルの改竄が行われる。 このことを,埋め込まれた不正プログラムや不正コードを「病原体」と見立てて,「コンピュータが病気にかかる」と言い表すことにする。

    セキュリティの教科書には,病気にかかったコンピュータはゼロから作り直すとある。
    なぜなら,病原体は巧妙に身を隠している。それを見つけ出し駆除することにしても,全部を見つけ駆除できたかどうかはわからない。 したがって,ゼロから作り直すしかないというわけだ。

    では,どうやってゼロから作り直す?
    問題は,これまでユーザが蓄積してきたデータファイルである。
    直近のバックアップを用いてよいか? ──しかし,その時にはクリーンであったという保証はない。
    疑うほどに遡らねばならないが,データは気前よくバッサリ捨てられるものではない。 1日分といえども,取り返しが利かないものであれば,保たねばならない。

    よって,「ゼロから作り直す」は,現実にはあり得ない。
    病原体を見つけ出し駆除することに手を尽くす。
    そして「これでまだ残っていたら,もうしようがない」というところまで行って,「復旧した」ことにする。
    以降このコンピュータは,「病気にかかったことがある・病気を持っているかも知れない」ものとして生きる。