Up 業務インフラになる 作成: 2007-09-28
更新: 2007-09-28


    国立大学のネットワークは,2000年に入ってからは,「事務の電算化」の行政指導と相俟って,確実に業務インフラへの道を歩むようになる。

    ネットワークが業務ネットワークになるとき,これまでの実験ネットワークは「無法」なものになり,排斥されるようになる。 「業務の場でそのようなことをやるのは,いかがなものか」になるわけだ。

      例えば,実験ネットワークでは,いまでいう「インターネット・プロバイダ」を PPP を使ってやっていたり,ウェブベースの遠隔授業をやっていたりした。 しかし,業務ネットワークの上のこととなると,これは許されないものになってしまう。 (いまでこそ遠隔授業は称揚されているが,以前は「対面授業」に対する違反になった。)

      実験車が走っているところに一般車が本格的に入ってくるようになると,交通法規がつくられる。(走り方の異なる車が同じ道を走ったら,事故になる。) そして,これまでの実験のやり方は,法規違反になる。

    また,実験ネットワークでは,ネットワークを実験・研究しようとする教員がそのままネットワーク管理者になっていたが,業務ネットワークになると,ネットワーク管理は事務の方にシフトしていく。 そして,このことからも,教員がネットワークを実験・研究に使う環境は,ますます厳しいものになる。


    実験ネットワークは,「寛大な配慮」によって生かされる形を選べば,すぐに死んでしまう。 ──実際,世代替わりでは「その時点からの出発」が起こる。そして,「寛大な配慮」はそこで終わる。

    国立大学のネットワークは,実験ネットワークの生きる道を真剣に考える段階にいまは来ている。