Up | 『個人情報保護法』が独り歩きする土壌 | 作成: 2007-08-21 更新: 2007-08-21 |
これの案が出てきたのは 2001年だが,この法に言論の自由の危機を見た者たちが反対行動を起こした。 城山三郎ががんばったこと,マスコミが概して後ろ向きであったことが,よく知られている。 そのときは反対が効を奏して法案が引っ込んだように見えたが,再び現れて法になってしまった。 『個人情報保護法』の当初の理由づけ (建て前) は,「個人情報が無軌道に使われるのを防ぐ」。──これに対しては,ある有力者や政治家を週刊誌ネタから守るためだろうと当時は言われた。 そして,法の成立からしばらく経った今日,心配されていた悪用や弊害が拡がっている。 法は独り歩きする。だから怖い。 政治家や有力者を週刊誌ネタから守るみたいな乗りでやったことが,とんでもないことに及ぶ。 これを城山らは警告したのだ。 ここで興味深いのは,トップが何かを言うより先に,ボトムの側で法遵守のポーズを勝手に競い合うということだ。 例えば,名簿廃止や名簿を使い物にならない内容につくりかえることを,あちこちでやりはじめた。 それをすることがいかにも進歩的あるという風に,自慢気にこれを行う。 学校現場だったら,イデオロギー的な閉鎖主義とマッチする。 よくよく認識しておかねばならないことは,日本が「言論の自由」「情報」の哲学の後進国であるということ。 ことば狩りのように個人情報漏洩狩り (「個人情報保護」の意味拡大) が正義感・使命感をもって進められる,そんな精神風土なのだ。 しかもいまは,「理不尽な○○」「モンスター○○」(以前は「バカ○○」の言い回しが使われていた) の世の中。 なんでもかんでも「個人情報漏洩」の言いがかりを受ける可能性がある。 哲学のない学校だったら,試験の成績リストなんかも自ら引っ込めるだろう (しかも,いいことをしているつもりで)。
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