「法人化」の国立大学は,ソフトウェア管理規程の制定において横並びしている。
ここに至る経緯は,つぎのようになる:
- 2006-02-01, 「岡山大学と新潟大学で,コンピュータソフトウェアの大量不正コピーが発覚」が報道される。
- これに対応して,2006-02-16, 文科省から国立大学等に『コンピュータソフトウェアの適正な管理の徹底について』が通達された。
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| 先般,一部の国立大学法人においてコンピュータソフトウェアが大量に不正コピーされているとの報道があったところです。
各機関においては,従来よりコンピュータソフトウェアの適正な運用・管理を行っていることと思いますが,このことを踏まえ,下記について各機関で点検・確認等を行い,より一層の適正管理を図っていただくようお願いいたします。
‥‥
記
1. ソフトウェア管理台帳等による点検・確認
2. 管理体制及び管理機能の確認
3. 機関内のコンピュータを利用する全ての教職員及び学生への啓蒙活動
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- この通達後,ソフトウェアの中央管理 (「管理台帳」) を主旨とする「ソフトウェア管理規程」を制定する国立大学が,つぎつぎと現れる。
例:
2006-05-29 国立大学法人北海道大学ソフトウェア資産管理規程
2006-06-01 国立大学法人新潟大学ソフトウェア管理規程
- 2007-02-13,北海道教育大学が「ソフトウェア管理規程」として『国立大学法人北海道教育大学ソフトウェア資産管理要項』を制定する。
さて,1 と 4 の間は,「風が吹けば桶屋が‥‥」ほどのギャップがある。
そこで,その間の連続性を見ていくことになる。
しかし,連続性が見出されるのは 1 と 2 の間だけであり,2 から 3 が出てくる事情 (誰がどう動いているのか) は不明である。
また,3 の「国立大学が規程で横並び」の力学 (誰がどう動いているのか) も不明である。
このように改めて対象をとらえようとすれば,(「規程」の運用が問題になる以前に)「規程」が何かがそもそもわかっていないことに気づく。
「この規程は何か?」という肝心な問いが閑却され,しかもこの閑却が意識されていない状態にあるわけだ。
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