Up 要 旨 作成: 2008-02-16
更新: 2008-02-16


    管理者はコンピュータ/ネットワークの運用形態を決定することができる。
    特に,管理者本位──反ユーザ本位──の運用形態を定めることができる。

    このような立場にある管理者が管理者本位に進むことは,自然である。
    ──この意味は,「コンピュータ/ネットワーク管理は,自ずと本末転倒に進む」ということである。


    管理者は,管理作業がたいへんになることを好まない。 そこで,管理作業がたいへんにならないようにする運用形態を定める。
    また,管理者は,トラブル発生を好まない。 トラブル対応作業がラクでないということもであるが,トラブル発生は管理の失敗ということにされてしまうかも知れない。 そこで,トラブルが発生しにくい運用形態を定める。

    管理作業がたいへんにならないようにする運用形態,トラブルが発生しにくくなる運用形態とは,実際上,コンピュータ/ネットワーク使用の統制である。

    管理される側のユーザは,既にコンピュータ/ネットワークに依存する教育・研究行動をつくってしまっている。またコンピュータ/ネットワークを使用する中で,新しくそしてより強力な活用法を自ずと考え出していく。 そこで,統制は,この教育・研究行動を損なうことと同じになる。
    コンピュータ/ネットワーク管理の本来の意味は「教育・研究ツール/環境として,コンピュータ/ネットワークの能力を解発 (release) する」であるので,これは本末転倒である。


    国立大学の場合は,従来,教員がネットワーク管理者を兼務してきた。 この管理業務の負担をいちばんの問題と定めるとき,「アウトソーシング」の発想に進む。 しかし,アウトソーシングは,教育・研究ツール/環境としてのコンピュータ/ネットワークの活用性を著しく弱めるものになる。
    これも「本末転倒」の一つである。