Up 「道具に自分を合わせる」 作成: 2008-02-14
更新: 2008-02-22


    道具をつくる人間は,つぎに道具を固定的なものする──自分を道具にあわせていく。
    これは,道具の意味からすると (すなわち,「人=主,道具=従」の関係からすると) 倒錯である。 しかし,人は,この倒錯を傾向性としてもっている。 <道具に自分を合わせる>は,人間の本性である。

    <道具に自分を合わせる>が人間の本性であるということには,「<道具に自分を合わせる>は意識されにくい」が含意される。

    また,道具は,後からくる世代や外から入ってくる者 (道具の出現に立ち会っていない者) にとっては,所与になる。 すなわち,彼らは最初から<道具に自分を合わせる>になる。


    以上は一般論であり,特にコンピュータにそのままあてはまる。
    人がコンピュータを使えば,カラダをコンピュータに合わせてしまう倒錯に進む。
    そして,「コンピュータの人支配」を導く。
    ──人がコンピュータを使えば,「コンピュータの人支配」へ自然に流れる。

    コンピュータ/ネットワークが怖いのは,これの使用が人を統一規格化 (画一化) に向かわせるそのスケールの大きさのためである。
    翻って,コンピュータ/ネットワークは,人・組織を統一規格化 (画一化) する強力な装置になる。

    しかも,この統一規格化 (画一化) を,人は自分から求める。
    すなわち,業務・生活の効率化のためにこれを求める。
    そして,コンピュータ/ネットワークのシステムに自分が支配されるようになる。

    さらに,後から来る世代や外から入ってくる者 (システムの出現に立ち会っていない者) にとって,このシステムは所与になる。 すなわち,彼らは最初から「コンピュータの人支配」の中に入ってしまう。