Up 今時のIT : はじめに 作成: 2024-09-25
更新: 2024-09-25


    2005年くらいから,IT の動向をチェックしていない。
    使っているコンピュータのOSは 2012年のもので,アプリケーションのバージョンがいまではすっかり旧くなって,PDF や Webコンテンツにも開けないものが増えてきた。

    携帯のインターネット端末との出会いはドコモの iモード だが,この手の情報端末はまったく苦手だということがわかった。
    その経験が祟って,スマホ──液晶画面を指タッチする携帯のインターネット端末──にも無縁で通して来てしまった。
    しかしこれは,いまの社会では生きられないことを意味する。

    スマホはいまから始める気はしないが,時流を知らないままなのは,いくらなんでも情けない。
    ということで,ここに「今時のIT」をチェックしてみることにした。


    ITのこれまでを振り返ってみよう。

    はじめは,データ処理を高速化する機械として,コンピュータが現れたことである。
    コンピュータが可能なことを示したのは,チューリングである (「チューリングマシン」)。

    コンピュータは,ハードウェアとソフトウェアの両面で,進歩していく。
    ハードウェアの進歩で大きかったのは,半導体である。
    集積回路が可能になり,コンピュータは軽量化と機能向上の両方を進めていく。
    そして,パーソナルコンピュータが現れる。

    ソフトウェアでは,OS の登場が大きい。
    マイクロソフトの起業は,パーソナルコンピュータ用OSである (「MS-DOS」)。


    そして,インターネットの登場になる。
    インターネットにつながったパソコンは,情報共有を開始する。
    ここで「WWW (World Wide Web)」と呼ばれるプロトコルがつくられ,WWWブラウザが登場する (「NCSA Mosaic」)。

    インターネットが WWW になると,情報検索サイトが欲しくなる。
    そしてこれを制覇したのが,Google というわけである。
    Google がトップを取れたのは,情報検索と地図検索を合わせたことにある。

    インターネットのつぎの飛躍は,スマホである。
    Apple は,コンピュータではコアなユーザがついたが,低空飛行であった。
    それが,スマホを以て情報端末メーカーのトップに立つ。

    スマホをもった個人は,情報発信を始める。
    そうなると,ソーシャルネットワークの経営が巨大なビジネスになる。
    そしてこの覇者になったのが,Facebook。

    また,ネットショッピングは,スマホをもった個人が入ってくることで,市場が爆発的に拡大する。
    そしてこれを期して用意周到してきた Amazon が,覇者になるというわけである。
    こうして,GAFAM が揃った。

    スマホをもつことの意味は,自分がネットの中の情報になるということである。
    そしてこれは,「自分がネットの中の情報であるために,スマホを自分の体の一部とせねばならない」ということである。
    実際,今日ひとは,スマホを持たずに生活することはできない。


    コンピュータ・アプリケーションのその後の進歩として挙げることになるのは,クラウド。
    企業はこれの採用により,LAN をインターネットから外すことができなくなった。
    企業ハッキング,ランサムウェアがニュースになる。


    コンピュータのその後の進歩の方では,何と言っても AI。
    これの登場で淘汰される個人・企業が出てくる。
    「コンピュータを操作する AI」やロボテック化と合わされば,個人・企業の淘汰はさらに進む。
    「人は創造的な仕事に専念できるようになる」は IT 企業の宣伝文句だが,「自分がそれだ」と思える者はたいしたものである。


    企業の IT戦略の分野では,2005年頃には無かったフレーズが色々見える。
    しかし真新しいフレーズが次々とつくられるのは,昔からあること。
    概して,売らんがためである。
    ここは,眉に唾してそれらを見ていくことになる。


    ところで,IT では日本は後進国になってしまった。
    これに関しては,日本企業の経営体質を原因に挙げるのがふつうである。
    しかしそもそも日本人には,IT の要諦である「オープン化」とか「標準化」とかが性に合わないところがある。

    日本人は「ガラパゴス」が性に合っている。
    独特のサブカルチャーを創り出すのに,能力を発揮するのである。
    外国人が日本に感心・感動するのは,このカルチャーである。
    特に,オープン化・標準化の世界で生かされている者は,そうだろう。

    自転車競争は,先頭の後ろについている方が有利である。
    ITで先行している者と遅れている者の勝ち負けは,長い目で見ればわからない。
    ──人間万事塞翁が馬