Up 1.1 言語  


 言語を,一つの

(1) 文生成システム/文生成変形システム(註1)
G

を土台とする,以下のようなシステムの組として,定式化する(註2)

(2) Gの上のシェマシステムの集合
S={Si|i∈I}

(3) Gの上の文生成変形システムの集合
D={Dj|j∈J}

(4) Gの上の理論の集合
T={Tk|k∈K}


 文生成システムは,“文法”の定式化である。シェマシステムは,“変数を用いた一般的表現”の定式化である。文生成変形システムは,“計算”の定式化である。

 文は記号列であり,文生成,文変形は,それぞれ記号列の生成,記号列の変形である。そして,この生成,変形においては,文を構成する記号とは異なる補助記号が使用される。



(註1) ここでの“文"(§1.3)は,日常語で言う“文”とは,必ずしも一致しない。実際,日常語で言う“語”や“文の列”も,ここでの“文”になり得る。
 例えば,加算式の生成システムでは,“語"が“文”になる。また,証明の生成システムでは,“文の列”が“文”になる。なお,§1.6 において,いくつかの例を示す。

(註2) 文全体の集合を,文生成システムGから生成される言語と呼び,L(G)で表わすことがある。われわれは,“言語”の語をこのような意味で用いないために,文全体の集合に対する呼称としては,“文彙”という言い回しを用意する。