Up 1.2 記号列の導出  


 一般に,集合Eの要素の有限列──空な列εを含める──全体の集合をE*で表わし,また,E+=E*−{ε} とおく。Eの要素を“記号”と読むとき,E*の要素を“記号列”と読む。

 記号の集合Eと,集合P⊂E*×E*に対し,
“Pをプロダクションとする記号列の導出(derivation)”
の概念を,つぎのように定義する。

 即ち,Pの要素を“規則(production rule)"と呼び,(φ,ψ)∈Pを

φ→ψ

で表わすとき,

  1. 記号列α,βに対し,規則σ→τと記号列γ,δが存在して,

    α=γσδ,β=γτδ

    となるとき,“αに規則σ→τを適用して記号列βが直接導出される”と言い,

    α⇒β
    で表わす。
     また,任意の記号列αに対し,
    α⇒α
    であると約束する。

  2. 記号列α12,・・・・,αmにおいて
    α1⇒α2,α2⇒α3,・・・・,αm-1⇒αm
    であるとき,“α1はαmを導く”と言い,

    α1αm

    で表わす。したがって特に,各記号列αに対し,

    αα
    である。

 なお,→,⇒, がプロダクションPに対するものであることを明示しようとするときは,


のように書くことにする。