Up 2.3.1 シェマシステム  


 文のシェマは,文生成システムGに対するもう一つの文生成システムGが生成する文と解される。

 しかし,G自身は,それの生成する文をGの文のシェマと身分づけるものにはなり得ない。“Gの文のシェマを生成するシステム”──簡単に,“Gの上のシェマシステム”──は,Gのほかに,シェマから文を導く“代入”を実現する装置を備えているものでなければならない。

 われわれは,文変形
(代入)
記号列i←─記号列iのシェマ1
記号列i←─記号列iのシェマ2
記号列i+1←─記号列i+1のシェマ1

をつぎのように考えることにする:
  1. 記号列i とこれのシェマは,変形作業上の記号(変形補助記号)を共有する──記号列iGの終端記号と変形補助記号で成り,これのシェマはGの非終端記号と変形記号で成る。

  2. “代入”は,G終端記号の列に対するG終端記号の列の〈代入〉である。

 ここで〈代入〉は,“記号列の直接代入”に限定されない。実際,“代入”が有限個の代入規則で述べられるためには,“代入”はより拡張された形で定式化されていなければならない(Cf.§6.3.4)。

 “代入”のこの定式化をつぎに述べる。