Up 3.1.2 推論,テクスト,定理,証明  


 定理の生成は,“推論”として捉えられる。

 “推論”は,
《文の組からの,一つの文の導出》

という形で定式化され,“仮定からの結論の導出”と読まれる。

 “推論”は,現象的には,《既につくられている文の列に新しく文を付け加える》という形でなされる〈文の列の生成〉である。この文の列を,理論Tで生成されるテクストと呼び,列の項になる文を,テクストの句と呼ぶことにする。

 定理の生成は,“公理”という名で特権化された文の集合を“仮定”にとったときの,“仮定からの結論の導出”である(註)

 一つの定理τの導出において生成されるテクストは,τの証明と呼ぶ。定理の証明は,定理の(有限)列である。

 文φの証明が存在すること(即ち,φが定理であること)を,φは証明可能(provable)であると言い表わす。



(註) 但しわれわれは,“公理”を
《ε(空記号列)の変形規則》
と捉え直して,“変形システム”の中に解消する(§3.2.3)。