Up 3.5.2.1 理論の定式化  


 二進数の加算の妥当な等式を生成する理論が,つぎのように定義できる。

  1. 二進数の加算の等式を,文生成システムG=(NV,TV,P,SEN)の生成するものと見なす。ここで,
    NV:
    SEN等式生成に関する
    TRM項生成に関する
    NUM(註1)数生成に関する
    STR(註2)数記号の列の生成に関する

    TV={1,0,+,=}
    P:
    SENTRM=TRM
    TRMTRM+NUM
    TRMNUM
    NUM0
    NUM1STR
    STRSTR0
    STRSTR1
    STRε


  2. Hは,GNVに
    U :一位数生成に関する
    を追加し,Pに
    U → 0
    U → 1
    を追加したもの。

  3. Hのシェマシステム S=( H,σ, R) では,

    1. H=( N, T, , SEN) は,
      N
        SEN等式シェマ生成に関する
        TRM項シェマ生成に関する
        NUM数生成に関する
        STR数記号の列の生成に関する
        Uに対応

      TV=TV∪{φ,ν,m,n,s,t}

      P:
      SENTRMTRM
      TRMTRMNUM
      TRMNUM
      NUM0
      NUM1STR
      STRSTR0
      STRSTR1
      STRε
      SENφ
      NUMν
      STR
      STR

    2. σ:
      SENSEN
      NUMNUM
      STRSTR

    3. 代入規則は原初的代入規則。


  4. D=(VD,D) を,つぎのように定義する:

    1. D={$,#,1}
    2. D:
      (00) ε1=1
      (01) +1=1+
      (a1) ^s+t=^$s+t$=
      (a2) ^s+t+^$s+t$+
      (a3) =s+t/=$s+t$/
      (a4) =s+t+=$s+t$+
      (a5) +s+t++$s+t$+
      (b1) $sm+tn$$s+t#m+n#$
      (b2) $sm+tn#$s+t#m+n#
      (c1) #0+n##n
      (c2) #1+0##1
      (c3) #1+1#1#0
      (d1) 1+1
      (d2) 011
      (d3) 1110
      (e1) $s+#$s
      (e2) $+s#$s
      (e3) $+#
      (f) $s$

      ここで“/”は,式の端を示すメタ記号である(変形補助記号ではない)。


  5. Sは, S#=( H#,σ#, R#) の H#に対し,終端記号に
    txt,1
    を追加し,プロダクションに
    TXTTXT1
    TXT → txt
    を追加したもの。

  6. Dは,D#と同じ。




(註1) NUM は,“NUMber(数)"。

(註2) STR は,“STRing(記号列)"。