Up 3.5.3.1 理論の定式化  


 準Thueシステムも,われわれの定式化した理論と見なせる。

 ここで準Thueシステムとは,組T=(L,α,π)で,つぎの条件を満たすもののことである:

  1. Lは,記号の有限集合でアルファベットと呼ばれる。
  2. αは,公理と呼ばれる一つの空でない記号列。
  3. πは,準Thueプロダクションの有限集合。但し準Thueプロダクションとは,記号列x,yに対するx→yの形のプロダクション(即ち,文脈自由にxをyで置き換えることを許すプロダクション)のこと。

 T=(L,α,π) は,つぎのようにして,理論

T′=(G,H,(S,D),( S, D))

と見なせる:

  1. G=(NV,TV,P,SEN) は,
      NV={SEN}
      TV=L
      P:
        SEN → SENx  (x∈L)
        SEN → ε
  2. HGに同じ。

  3. S=( G,σ, R) では,
    1. G=( N, T, , SEN) は,
        N={ SENSVR}(註)
        T=L∪{φ,1}
          SENSENx  (x∈L)
          SEN →ε
          SENSEN SVR
          SVRSVR1
          SVR →φ
    2. σ:
        SEN →SEN

    3. 代入規則は原初的代入規則。


  4. D=(φ, {ε→α}∪π)。

  5. Sは, S#=( G#,σ#,R#) の G#に対し,終端記号に

    txt

    を追加し,プロダクションに
    TXTTXT1
    TXT → txt
    を追加したもの。

  6. Dは,D#。


 このように定義したT′に関する証明,定理は,確かに,Tに関する証明,定理と同じものになる。



(註) SVR は,“Sentence-VaRiable"。