加法の論理体系T=(A,F,A,P)が,以下のようにして定義される(註)。
- A={1,+,=}
- Fは,つぎのようにして定義される式の全体である:
1° 1は項である;
2° 項Uに対し,U1は項である;
3° 項U,Vに対し,U+Vは項である;
4° 項U,Vに対し,U=Vは式である;
5°1°から4°を有限回適用して導かれる式のみが,式である。
- A:
(a1) 1=1
(a2) U1=U+1
(a3) U1+V=U+V1
ここで,Uは項。
- P:
(i1) U=V → U1=V1
(i2) U=V → V=U
(i3) U=V,V=W → U=W
ここで,U,V,Wは項。
(2),(3),(4) に現われている記号U,V,Wは,メタ記号で,“変数”として使用されている。即ち,F,A,Pは,シェマで表現されている。
特に,F,A,Pは無限集合である。但しそれは,帰納的という性格をもつ。即ち,
“この集合の要素である”
ことが,
“有限個の記号に対する実効的処理という形で生成できる”
ことに表現可能である。実際,§3.5.1.1 は,後者の仕方で加法理論を記述したものである。そして,この方法をとることで,無限集合を登場させずに理論を記述することができたのである。
(註) §3.5.1 参照。
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