Up 4.4.1 理論の定式化  


 加法の論理体系T=(A,F,A,P)が,以下のようにして定義される(註)

  1. A={1,+,=}

  2. Fは,つぎのようにして定義される式の全体である:

      1° 1は項である;
      2° 項Uに対し,U1は項である;
      3° 項U,Vに対し,U+Vは項である;
      4° 項U,Vに対し,U=Vは式である;
      5°1°から4°を有限回適用して導かれる式のみが,式である。

  3. A
      (a1)  1=1
      (a2)  U1=U+1
      (a3)  U1+V=U+V1
    ここで,Uは項。

  4. P:
      (i1)  U=V → U1=V1
      (i2)  U=V → V=U
      (i3)  U=V,V=W → U=W
    ここで,U,V,Wは項。


 (2),(3),(4) に現われている記号U,V,Wは,メタ記号で,“変数”として使用されている。即ち,F,A,Pは,シェマで表現されている。

 特に,F,A,Pは無限集合である。但しそれは,帰納的という性格をもつ。即ち,

“この集合の要素である”
ことが,
“有限個の記号に対する実効的処理という形で生成できる”

ことに表現可能である。実際,§3.5.1.1 は,後者の仕方で加法理論を記述したものである。そして,この方法をとることで,無限集合を登場させずに理論を記述することができたのである。



(註) §3.5.1 参照。