Up 6.2.1 文生成システム  


 命題論理Tは,以下のように定義される文生成システムG=(NV,TV,P,SEN) を土台とする。

  1. NV={SEN}

  2. TV={(,),∧,¬,∨,⊃,(註1)

  3. プロダクションPは,
    SEN → (SEN)∧(SEN)
    SEN → (SEN)∨(SEN)
    SEN → (SEN)→(SEN)
    SEN → (SEN)(SEN)
    SEN → ¬(SEN)
    でなる(註2)


 SEN が終端記号に変換されないので,命題論理は文(終端記号のみからなる記号列)を生成しない。言い換えると,命題論理は文をもたない



(註1) これらは,命題論理の論理記号と呼ばれる。また,このうちの ∨,⊃, は,本来,簡約記号として導入されるところのものである──この“簡約”の意味は,§6.2.2 で述べる文変形規則の (SR1),(SR2),(SR3) に示される。
 ‘⊃’は“含意”の記号である。記号‘→’を使用するのがむしろ一般的であるが,文生成のプロダクションの記号‘→',文変形のプロダクションの記号‘→'と紛れないために,ここでは記号‘⊃’を用いることにする。

(註2) これは,文を,つぎのように再帰的に定義することに対応する:
    (1) 文φ,ψに対し,φ∧ψは文;
    (2) 文φに対し,¬φは文;