Up 出費の帳尻 作成: 2024-02-14
更新: 2024-02-14


    被災に備えていまの生活のバックアップを「独自避難生活場所」として準備する──これはけっこうな出費である。
    この出費を大きいとみるかどうかは,いまの自分の生活の価値をどう見るかによる。

    ひとは,「自分の生活の価値を見る」の概念を持たない。
    よって,独自避難生活場所づくりの出費は,ただ「高い」になる。
    ひとが,自分の生活がけっこうな価値のものであることを知るのは,被災でそれを失ったときである。
    そして茫然自失になる。

    災害保険は,生活を取り戻すものではない。
    それはただ,家再建の金の足しにするというものである。
    ひとは家を再建すれば生活が戻ってくると思っているが,そうではない。


    生活のバックアップを「独自避難生活場所」としてつくっていた者は,被災場所での茫然自失を免れる。
    「ついにこれを使うときが来たか」の思いで,気を新たにすることになる。

    ひとは,前に進むときは元気になれる。
    無意味な穴でも,掘るとなるとその苦労に興じることができる。
    しかし,掘った穴を埋めまた掘るのような,「同じ苦労をもう一度」はできないのである。


    .: ひとには, 「いまの生活が壊れてもどうってことない」「いまの生活を終わらせる潮時に来ている」タイプの者がいる。
    ここでは,彼らを除外して論を進めている。