Up 柴狩り 作成: 2024-02-11
更新: 2024-02-16


    「おじいさんは山へ柴かりに」の「柴かり」は,「柴狩り」と書く。
    「柴刈り」は間違い。
    「柴狩り」の「狩り」は,「紅葉狩り」「鹿狩り」の「狩り」である。
    意味は,「それを求めて山中をうろつく」。

    「柴」は,落枝(らくし)
    「柴狩り」は,「薪になる落枝を求めて山中をうろつく」。


    落枝には,強風や動物の外力によって折れて落ちたものと,木が「これは要らない」として落としたものがある。
    前者は生木だが,後者は枯木でそのまま薪になる。

    「これは要らない」として木が落とす枝は,他の枝葉の陰になって葉に日が当たらない枝である。
    森の高木は幹が長い形になるが,それは下の枝をどんどん落としていくため。
    木の成長とともに落枝は年間けっこうな量になっていくので,1ha 程度の山林でも柴狩りが成立し得る。
    また, 「間伐」として灌木を伐ることも,薪の収穫になる。


    ただしこれは,広葉樹林の場合。
    人工林の針葉樹林は,ダメ。

    針葉樹は陰樹であって,日があまり当たらない枝も,木は大事にとっておく。
    そして針葉樹林は,他の植物が入って来れない「サバク」。
    これは,針葉樹の落葉が土壌を酸性にするとともに,葉自体に他の植物の生育を阻害する成分が含まれているためである。

    ちなみに土砂崩れする山は決まって人工林の山だが,針葉樹林のサバクであることがその理由である。
    下生えが無くそして針葉樹の根は浅いから,地表が簡単に流れてしまうのである。


    柴狩りを目的に所有しようとする山林は,広葉樹の山林である。
    針葉樹の山林 (人工林) はダメ。
    くれぐれも間違わぬよう。