Up 排泄 作成: 2024-04-13
更新: 2024-04-13


      Darwin (1881), pp.113,114
    (Darwin が観察したミミズは,オウシュウツリミミズ Lumbricus terrestris)
    土を飲み込んだミミズは、トンネルを掘るためだったにしろ食物を得るためだったにしろ、ただちに地表に出て消化管を空にする。
    排泄された土は、腸の分泌物とよく混ざっているためねばねばの状態である。
    それらはやがて乾燥して固くなる。
    ミミズの排泄を観察したところ、土が液状のときは、噴出するかのように排泄された。
    それほど液状ではないときは、ゆっくりした蠕動運動のようだつた。
    排泄される方向は無差別ではない。
    最初は一方向、次は別の方向というように、気を配るかのように排泄される。
    そのときのしっぼの動きは、まるで左官が操る(こて)を思わせる。
    糞塊の小さな山ができると、ミミズはしっぽを突き出すのをただちにやめるようだ。
    それは安全を期すためなのだろう。
    その後は、すでに積みあがった柔らかい糞の中に土の糞を押し込む。
    この作業のために、同じ巣穴の口が長期にわたって使用される。

      同上, pp.114,115
    ミミズが土を排泄するために地表に出るときはしっぽを巣穴から突き出す。
    一方、葉を集めるときは頭を地表に突き出さねばならない。
    つまりミミズは、体にぴったりフィットしたトンネルの中で方向転換する力を発揮しなければならない。
    これは、かなり至難の業に思える。
    ミミズの糞は、必ず地表に排泄されるとは限らない。
    隙間が見つかるときには、そこに排泄する。
    掘り返されたばかりの土や積み上げられた植物の茎のあいだにトンネルを掘るときは、そうした隙聞を利用する。
    地面の上に転がっている大きな石の下の空所なども、ミミズの糞ですぐにいっぱいになる。



  • 引用/参考文献
    • Darwin, Charles : The Formation of Vegetable Mould Through the Action of Worms, 1881
      • William Clowes And Sons, London, 1881
      • 渡辺政隆[訳]『ミミズによる腐植土の形成』, 光文社, 2020.