Up 「痛い」の意識 作成: 2020-01-17
更新: 2020-01-17


    生きる者は,善い物と悪い物に出遭う。
    善い物とはこれに近づくものであり,悪い物とはこれから離れるものである。

    進化の自然選択ダイナミクスは,動物をつぎのような生き物につくって,<悪い物から離れる>が実現されるようにする:
      悪い物との遭遇・接触では,「痛い」を感覚する。
      この「痛い」を忌避するために,悪い物から離れる。

    この忌避には,<反射>と,<反射>の後に続くところの<判断→行動>がある。
    そして,<判断→行動>は,動物から現れるものである。

    <判断→行動>の忌避は,<「痛い」を我慢して,忌避しない>があり得ることで,<反射>の忌避との区別が立つ。
    翻って,<ふつうは忌避するが,忌避しない場合がある>が観察されるとき,その動物は「痛い」を意識していることになる。

    その<忌避しない>は,<忌避よりプライオリティの高いものがあって,それを取るために忌避しない>である。
    翻って,このトレードオフを成す動物は,「痛い」の意識をもつ動物である。


  • 参考文献
    • Braithwaite, Victoria (2010) : Do fish feel pain?
      • Oxford University Press, 2010.
      • 高橋洋[訳]『魚は痛みを感じるか?』, 紀伊國屋書店, 2012.