Up 「数は量の比」と「数は量の抽象」  


    「数は量の比」は,線型空間や加群(module)の話に慣れている者なら「数と量の関係は,スカラとベクトルの関係のようなもの」の言い方で了解できる内容である。
    「量」の語を使ってはいても,それは数学的な形式の話になる。
    「数は量の比」とはいっても,数より先に量があるのではない。 形式としての量は,数を素材にして定義される。 数の方が量より先にくるのである ([2, §「量としての数」: 量の普遍対象])。

    一方,「数は量の抽象」は,実体概念として量を立てるところから論を起こす。そして,数は量の抽象であるとする。 そして,つぎのような論を展開していく:

      数は抽象,量は具体
      量には内包量と外延量がある
      数の積は量の積の抽象
      割り算には等分除と包含除がある
      形式不易の原理
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