1.1 「形」と教科教育
教科の主題は,それぞれに「形」である。生活の上で生起する様々な事態への対応に人が用いている「形」──この意味での,世界に人が応接する「形」──これがここで言う形である。
人はその長い歴史の中で,生活に有効な形を様々に創造し発展させてきた。形の集積が「文化」である。「文化」の違いは「形」の違いであり,「文化」の相対性は「形」の相対性である。
「形」の指導は文化の指導に他ならないが,これをわれわれは,膨大な数の形の中からその一部を厳選し,さらにそれらを「教科」が分担するという方法をとっている。これが「教科教育」である。