“数”の主題領域 目 次 I “数/量”一般論 1 数/量/位形式
1.2 数形式
1.2.2 順序構造 1.3 量形式
1.3.2 代数的構造 1.3.3 順序構造 1.4 位形式
1.4.2 スカラ0 1.4.3 代数的構造 1.4.4 順序構造 1.4.5 位直線 2 量/位としての数
2.2 数直線 3 数/量/位の系の同型,準同型
3.2 量の系の同型,準同型──“比例関数” 3.3 位の系の同型,準同型 4 量/位の表現(測定)
4.2 位表現──基準,位測定,計器 5 数論(文法)
5.2 変項記号 5.3 対象式,関係式の同値変形 II “数/量”各論 6 自然数
6.1.2 順番 6.1.3 個数 6.2 自然数の定義 6.3 自然数への順序構造の導入 6.4 自然数への代数的構造の導入
6.4.2 差,引き算,減法 6.4.3 乗法 6.4.4 商,割り算,除法 6.4.5 剰余 6.5 自然数の系への零の添加 6.6 式の同値変形 7 十進生成自然数
7.2 十進生成自然数の順序関係判定法 7.3 十進生成自然数の計算法
7.3.2 位取り計算法 7.3.3 四則アルゴリズム 7.3.4 空位記号の0 8 “個数”
8.1.2 スカラ0 8.2 計数法 8.3 個数計算
8.3.2 乗法/除法の使用 8.4 計算表への0の導入 9 分数
9.2 分数の定義 9.3 分数への順序構造の導入 9.4 分数への代数的構造の導入 9.5 加法
9.5.2 分数の足し算 9.5.3 和の結合法則,交換法則 9.5.4 加法 9.6 差,引き算,減法
9.6.2 引き算(求差計算) 9.6.3 減法 9.7 乗法
9.7.2 分数の掛け算 9.7.3 積の結合法則,交換法則 9.7.4 逆倍,逆数 9.7.5 乗法 9.8 商,割り算,除法
9.8.2 割り算(求商計算) 9.8.3 除法 9.9 分数への零の添加 9.10 分数の中への自然数の埋め込み 9.11 (分)数直線 9.12 小数の導入
9.12.2 小数の相等 9.12.3 分数を小数に変えるアルゴリズム 9.13 小数の大小関係
9.13.2 分数と小数の大小比較 9.14 小数の四則計算アルゴリズム
9.14.2 引き算 9.14.3 掛け算 9.14.4 割り算 9.15 小数の十進構造 9.16 百分率,歩合 10 “量”
10.1.2 スカラ0 10.2 量/位計算
10.2.2 量の和,位の移行の計算 10.2.3 量の差,位の差の計算 10.2.4 量の和,位の移行の方程式を解く 10.2.5 量の倍の計算 10.2.6 倍合成の方程式を解く 10.2.7 量の大小関係,位の順序関係の判定 11 比例関係
11.2 対応関係の生成 11.3 類概念としての比例関係 11.4 比例関係の表現──“単位量あたりの大きさ 11.5 “同じ速さ” 11.6 密度 11.7 比例関係の問題の解法 11.8 比例定数 11.9 比例関係のグラフ 12 各種“量”
12.2 時間,時刻 12.3 長さ 12.4 重さ 12.5 温度 12.6 角度 12.7 面積 12.8 体積 13 求積計算
13.2 直方体の求体積問題に対する分数・小数の使用 14 量関係
14.1.2 グラフ,表 14.2 比例関係 14.3 反比例関係
14.3.2 対応関係の生成 14.3.3 類概念としての反比例関係 14.3.4 反比例関係の問題の解法 14.3.5 反比例定数 14.3.6 反比例関係のグラフ 14.4 二量と一量の対応関係 III 統計,確率 15 統計
15.2 サンプリング,推定 15.3 概数 15.4 平均 15.5 表,グラフ 16 確率
16.2 確率 I “数/量”一般論 1 数/量/位形式 1.1 〈形式〉と〈形式の実現〉 (1) 〈形式〉と〈形式の実現態〉の区別。 (2) 形式の実現態に関する (i) 素材の構造(素材の構成) (") 素材に添加される構造(代数/順序/位相構造) (#) 要素の命名の構造(命名法) の区別。 (3) 数の構成 (i) 系列としての自然数 (") 自然数で構成される数としての分数 1.2 数形式 1.2.1 代数的構造 (1) 二則──加法と乗法,分配法則。 (2) 結合,交換法則。 (3) 単位元1 (4) 零元0 (5) 逆元(逆数) 1.2.2 順序構造 (1) 順序関係。 (2) “以下",“以上",“未満”の言い回し。 (3) 区間 1.3 量形式 1.3.1 〈量の比〉としての数 (1) 倍概念 (2) “xはuのn倍”の把捉からさらに,“n倍”という関係(倍関係)を抽象する。 (3) 倍関係の図式: n x 「■ y の導入。 (4) 図式の上で,量と数を区別する。 1.3.2 代数的構造 (1) 和 (2) 数の倍作用 1.3.3 順序構造 1.4 位形式 1.4.1 〈位の差〉としての量 (1) 量が“位の差”と読めるような“位の系”の概念の導入。 1.4.2 スカラ0 (1) 数の系に零元がないときは,位の系がつくれない。位の系にするために,数の系に零元を添加する。 1.4.3 代数的構造 (1) 量を作用素とする位の移動。 1.4.4 順序構造 (1) 量の順序関係から導出される順序関係。 1.4.5 位直線 (1) 位の系としての長さの系■の表現──“ものさし” (2) 位の系■と長さの系■の間に同型対応をつくる。この同型対応の下,“ものさし”が位の系■の表現になる──位直線。 2 量/位としての数 2.1 量/位としての数 2.2 数直線 (1) 〈位としての数〉に対する〈位直線〉としての“数直線” 3 数/量/位の系の同型,準同型 3.1 数の系の同型,準同型 (1) 二つの数の系 (N1,+,×),(N2,+,×) と関数■:N1「■N2 において条件: ■(ξ+η)=■(ξ)+■(η) ■(ξ×η)=■(ξ)×■(η) が満たされるとき,■をこの数の系の間の準同型と呼ぶ。 3.2 量の系の同型,準同型──“比例関数” (1) 二つの量の系 ((Q1,+),(N1,+,×),■), ((Q2,+),(N2,+,×),■) と関数f:Q1「■Q2,■:N1「■N2 において条件: f(x+y)=f(x)+f(y) f(x■ξ)=f(x)■■(ξ) ■は数の系の間の準同型 が満たされるとき,(f,■) をこの量の系の間の準同型と呼ぶ。 (2) ■=id の準同型としての“比例関数” 3.3 位の系の同型,準同型 (1) 二つの位の系 (S1,((Q1,+),(N1,+,×),■),■),(S2,((Q2,+),(N2,+,×),■),■) と関数F:S1「■S2,f:Q1「■Q2,■:N1「■N2 において条件: F(X+x)=F(X)+f(x) (f,■) は量の系の間の準同型 が満たされるとき,(F,f,■) をこの位の系の間の準同型と呼ぶ。 4 量/位の表現(測定) 4.1 量表現──単位,量測定,計器 (1) 一つの量uを〈単位〉と身分づけ,量xを“uがいくつ”という形で表現する。 (2) “xはuがn個”を“xはuのn倍”のように言い表わす。 (3) “単位の分数/小数倍”という形で量を表現する。 (4) このような量表現を得る実践としての“測定”。 (5) 公的単位 (6) 公的単位に対する量表現。 4.2 位表現──基準,位測定,計器 5 数論(文法) 5.1 対象式,関係式の生成 (1) 要素記号──数記号,演算記号,括弧 (2) 文法 5.2 変項記号 (1) 変項記号の導入。 (2) “未知数”として変項記号を使用する。 (3) “変数”として変項記号を使用する。 5.3 対象式,関係式の同値変形 (1) 対象式/関係式の中の演算記号あるいは括弧の個数を減らす同値変形。 (2) このような同値変形として“計算”を理解する。 U “数/量”各論 6 自然数 6.1 自然数の使用 6.1.1 番号 (1) 自然数の記号で命名すること。 (2) 番号とは,このような命名であること。 (2) 自然数が無際限に生成できることが,自然数を名に用いる理由になっていること。 6.1.2 順番 (1) 《順番をつける》の構造: (i) 集合を整列化する. (") 整列化した集合と順序同型な自然数の切片を求める. (#) 集合の各要素xに対し,この同型対応の下でxに対応する自然数をxの順番と定める. (2) 順番の計算 6.1.3 個数 (1) 《数える》の構造: 集合Xの要素に順番をつけ,最後の要素の順番をXの個数と定める. (2) 個数の計算 6.2 自然数の定義 (1) 自然数の使用を参照して,自然数の意義を“形式”のことばで捉えようとすること。 (2) このとき,素材としての自然数が“系列”──“ペアノの公理”の形で定義されるところのもの──であること。 (3) 自然数の使用を,“系列の上に導入される構造”のことばで捉えること。 6.3 自然数への順序構造の導入 (1) 順序関係 (2) 記号‘<’ 6.4 自然数への代数的構造の導入 6.4.1 加法 (1) 和の概念 (2) 和の対象式,記号‘+’ (3) 対象式の生成,記号‘(',‘)’ (4) 相等の関係式,記号‘=’ (5) 足し算アルゴリズム (6) 加法の概念──内算法として (7) 加法の交換法則,結合法則 (8) 自然数の系が加法に関して閉じていること。 6.4.2 差,引き算,減法 (1) 差の概念 (2) 差の対象式,記号‘−’ (3) 差を含む対象式の生成 (4) 減法の概念──内算法として (5) 自然数の系が減法に関して閉じていないこと。 6.4.3 乗法 (1) 積の概念 (2) 積の対象式,記号‘×’ (3) 積を含む対象式の生成 (4) 掛け算アルゴリズム (5) 乗法の概念──内算法として (6) 乗法の交換法則,結合法則 (7) 単位元1 (8) 自然数の系が乗法に関して閉じていること。 6.4.4 商,割り算,除法 (1) 商の概念 (2) 商の対象式,記号‘÷’ (3) 商を含む対象式の生成 (4) 除法の概念──内算法として (5) 自然数の系が除法に関して閉じていないこと。 6.4.5 剰余 (1) 剰余類 (2) 偶数,奇数 6.5 自然数の系への零の添加 (1) 自然数の系への零の添加,記号‘0’ (2) 0を含む対象式 6.6 式の同値変形 (1) 結合法則,交換法則,分配法則の適用。 (2) (m−n)−p=m−(n+p) (3) (m÷n)÷p=m÷(n×p) 7 十進生成自然数 7.1 自然数の実現(“記数/命数法”) (1) “アラビア数字”──1,2,・・・・,9,0 を要素記号とする十進生成自然数 (2) “漢数字”── {一,・・・・,九},{■,百,千},{万,億,兆,・・・・} を要素記号とする十進生成自然数 7.2 十進生成自然数の順序関係判定法 (1) 十進生成自然数の順序関係判定法 7.3 十進生成自然数の計算法 7.3.1 十進和の経由 n (1) an・・・・a1= ■10k×ak i=1 (2) 式全体を ■10k×ak の形に同値変形する工夫──“10のかたまりをつくる”。 (3) 二項演算の二項それぞれを ■10k×ak の形に同値変形し,位取り計算へ引き継ぐ。 7.3.2 位取り計算法 (1) 足し算九九 (2) 掛け算九九 (3) 位取り計算法 7.3.3 四則アルゴリズム (1) 足し算アルゴリズム (2) 足し算の簡約化 (3) 引き算アルゴリズム (4) 引き算の簡約化 (5) 掛け算アルゴリズム (6) 掛け算の簡約化 (7) 割り算アルゴリズム (8) 割り算の簡約化 7.3.4 空位記号の0 (1) 空位記号の“0”と零元の“0”の区別。 (2) 空位記号と零元に“0”が混用される理由。 8 “個数” 8.1 “個数” 8.1.1 “個数”──自然数の系に対応する量/位形式として (1) 自然数の系 (■,+,×) に対応する量/位形式としての“個数"(系): ((■,+),(■,+,×),×) (■,((■,+),(■,+,×),×),+) (2) この形式に同型な系としての各種“個数"(系): ((Q,+),(■,+,×),■) (S,((Q,+),(■,+,×),■),■) (3) 各種“個”ないし“個数”は,素材の上に浮び上がる像(幻想)。素材は“個”の集合──要素が“個”という画一的身分で読まれる集合──に解釈される。 (4) “個”の集合に対し“個数”を求める手続き: (i) 集合を整列化する. (") 整列化した集合と順序同型な自然数の切片を求める. (#) この同型対応の下で集合の最後の要素に対応する自然数が“個数”. 8.1.2 スカラ0 (1) “個数”を位の系にするための,スカラ0の導入: (i) 〈位の基準〉としての“0個” (") 〈量の零元(■増減なし")〉としての“0個” 8.2 計数法 (1) n進計数法 8.3 個数計算 個数の倍/和/差の式の同値変形 8.3.1 加法/減法の使用 (1) 求和計算 (2) 求差計算 (3) 過不足の計算 (4) “減法逆の加法” (5) “加法逆の減法” (6) “求大逆の減法” (7) “求小逆の加法” 8.3.2 乗法/除法の使用 (1) 倍の合成 (2) “等分除",“包含除” 8.4 計算表への0の導入 (1) 〈値なし〉の記号の導入──〈値なし〉を〈値未記入〉から区別するためのものとして。 (2) 計算の一律処理を可能にするために,演算を〈値なし〉記号を含めたものに拡張する。 (3) この拡張において,〈値なし〉記号が零元と同値であること。 9 分数 9.1 整数比,分数倍 (1) 《単位の整数倍にならない量を“単位の何倍”という形で表現する》ことの課題化: ? u 「■ x (2) 公約量の導入を経由して,整数比(■いくつといくつ")を導入する: u x ■m n■ ■ ■ v (3) 公約量が一意でないことにより,整数比の相等が主題になる。 u x ■■m n■■ 、 ■ ■ 、 、 、 、 v 、 ■m′ n′■ ■「 w 「■ (4) 整数比の相等条件: m:n=m′:n′ ■■ m×n′=n×m′ (5) 整数比m:nを“n/m倍”と読む。 9.2 分数の定義 (1) “n/m倍”に対する“分数n/mの倍作用”の読み方により,分数を対象化する。 (2) 分数倍の相等から (i) 類としての分数 (") 分数の相等 に導く。 (3) 分数の相等条件: n/m=n′/m′ ■■ m×n′=n×m′ (4) 分数の相等を,約分による分数の簡約の方法で判定する。 9.3 分数への順序構造の導入 (1) 単位uに対してそれぞれ“uのn/m倍”,“uのq/p倍”のように表現されている量x,yの大小関係から,分数n/mとq/pの大小関係を定める: x<y ■■ n/m<q/p (2) 同分母分数n/m,p/mの大小判定の図式: x y ■■n/m p/m■■ 、 ■ ■ 、 、 u 、 、 、 ■ ■m ■ n■ 、 ■p ■ v ■ から導かれる命題: n/m<p/m ■■ n<p (3) 異分母分数の大小比較を,異分母分数を同分母分数に直すことによって行なう。 (4) 分母の公倍数を求めることとしての“通分”: < n/m = q/p > 、 、■■ s×m=t×p=k ■ < (n×s)/k=(q×t)/k > この手続きの図式: x y ■■n/m q/p■■ 、 ■ ■ 、 n、 u 、q 、 、 、 ■ ■ ■ 、 、■m 、 p■、 、 w1 、k w2 、 ■ 、 ■ s■ 、 ■t v 9.4 分数への代数的構造の導入 9.5 加法 9.5.1 分数倍の和 (7) 《倍としてのn/mとq/pの和になる分数をn/m+q/pと書く》という形で分数の和を導入する: (i) 単位uの分数倍の形に表現されている二量x,yの和が再びuの分数倍の形に表現できるかどうかを,課題化する。 (") uに対してx,yを表現する分数が同分母のとき,この課題を解く。 (#) 量x,yがそれぞれ単位uのn/m倍,q/p倍のとき,xとyの和は単位uの分数倍に表現できて,しかも分数n/m,q/pを構成する自然数m,n,p,qの処理でその分数が求められること。 ($) 《この分数をn/m+q/pと書く》という形で分数の和を導入する。 9.5.2 分数の足し算 (3) 同分母分数n/mとp/mに対して,この課題を解く──両者の和が (n+p)/m になること。 (4) 分数倍の和一般を,二つの分数を同分母分数にに変えることで解く。 (8) 分数の和の計算法(アルゴリズム)として,分数の足し算を導入する。 9.5.3 和の結合法則,交換法則 9.5.4 加法 9.6 差,引き算,減法 9.6.1 分数の差 (1) 分数の差n/m−q/pを,q/pとの和がn/mになる分数を表わす対象式として,導入する。 9.6.2 引き算(求差計算) (1) 同分母分数の差n/m−p/mは,(n−p)/m+p/m=n/mであることにより,(n−p)/m。 (2) 異分母分数の差は,同分母分数の差に変形して求める。 9.6.3 減法 (1) 分数の系が減法に関して閉じていないこと。 9.7 乗法 9.7.1 分数倍の積,分数の積 (1) 単位uの分数倍の分数倍が再びuの分数倍に表現できるかどうかを,課題化する。 (2) 課題を,二つの分数がn/m,p/nの形である場合で解く。 (3) 一般の場合を,二つの分数をn/m,p/nの形に変えることで解く。 (4) 単位uのn/m倍のq/p倍が単位uの分数倍に表現できて,しかも分数n/m,q/pを構成する自然数m,n,p,qの処理でその分数が求められること。 (5) 《この分数をn/m×q/pと書く》という形で分数の積を導入する。 9.7.2 分数の掛け算 (1) 分数の積の計算法(アルゴリズム)として,分数の掛け算を導入する。 (2) 積の公式: n/m×q/p=(n×q)/(m×p) 9.7.3 積の結合法則,交換法則 (1) n/m×q/p=q/p×n/mであること。 9.7.4 逆倍,逆数 (1) n/m倍の逆倍がm/nであること。 (2) “互いに逆倍”の関係が“掛けて1”の関係であること。 9.7.5 乗法 9.8 商,割り算,除法 9.8.1 分数の商 (1) 分数の商n/m÷q/pを,q/pとの積がn/mになる分数を表わす対象式として,導入する。 9.8.2 割り算(求商計算) (1) 同分母分数の商n/m÷p/mは,(n/m×m/p)×p/m=n/mであることにより,n/m×m/p。 (2) 分数の商の計算法の導くところとして,小数の商の計算法を得る。 (3) 特に,小数点の位置の操作の理由。 9.8.3 除法 (1) 分数の系が除法に関して閉じていること。 9.9 分数への零の添加 (1) 分数に0を添加する。 (2) つぎの二つが同値であること: (i) 〈0を添加していない自然数の系〉から導いた分数の系に,0を添加する. (") 〈0を添加した自然数の系〉から分数の系を導く. 9.10 分数の中への自然数の埋め込み (1) n倍とn/1倍の同一視。 (2) 分数の累加の簡便表記として“分数×自然数”を導入することと,分数×分数として“分数×自然数”を導入することが,同値であること。 (3) 分数×自然数,分数÷自然数を前者の解釈に立って──即ち,“いくつ分",“等分”の発想で──計算する。 (4) 分数÷分数としての自然数÷自然数。 9.11 (分)数直線 (1) 〈位の系としての分数の系〉に応ずる位直線としての数直線。 9.12 小数の導入 9.12.1 小数表記 (1) 分母が 10n(n=1,2,・・・・)の分数として,小数を導入する。 (2) 分母 10n を書かない代わりの表現として,小数点を理解させる。 (3) 小数における“位(くらい)”の概念。用語“小数第n位”。 9.12.2 小数の相等 (1) 分数の相等関係に対応する小数の相等関係として, an・・・・a0.b1・・・・bn =an・・・・a0.b1・・・・bm0・・・・0 9.12.3 分数を小数に変えるアルゴリズム (1) 分数を小数に変えるアルゴリズム──除算アルゴリズム。 9.13 小数の大小関係 9.13.1 小数の大小関係 (1) 二つの小数 an・・・・a0.b1・・・・bm,cq・・・・c0.d1・・・・dp の大小関係は,つぎのように判定できる: (i) 自然数 an・・・・a0 と cq・・・・c0 が等しくないとき,これの大小関係がもとの二つの小数の大小関係. (") (i) で判定できないときは,i=0 から始めて最初に bi≠di になったときの bi と di の大小関係がもとの二つの小数の大小関係. (#) (") で判定できないときは,m と p の大小/相等関係が二つの小数の大小/相等関係。 9.13.2 分数と小数の大小比較 9.14 小数の四則計算アルゴリズム 9.14.1 足し算 (1) 分数の和の計算法の導くところとして,小数の和の計算法を得る。 (2) 通分が“小数点の位置を揃える”に替わること。 9.14.2 引き算 (1) 小数の足し算の逆として,小数の引き算を得る。 9.14.3 掛け算 (1) 分数の積の計算法の導くところとして,小数の積の計算法を得る。 (2) 分数の掛け算で分母同士を掛けることが,小数の掛け算では“小数点の位置の操作”に替わる。 9.14.4 割り算 9.15 小数の十進構造 (1) 小数の十進構造: am・・・・a0.a-1・・・・a-n = ■10k×ak (k■{m,・・・,0,−1,・・・,−n}) (2) 小数の計算アルゴリズムを,小数の十進構造から解釈する。 9.16 百分率,歩合 (1) 分母100の分数(小数 0.a-1a-2)倍に対する,百分率“a-1a-2パ−セント(%)”の言い回し。 (2) 小数 0.a-1a-2a-3(=10-1×a-1+10-2×a-2+10-3×a-3+10-4×a-4)倍に対する“a-1割a-2歩a-3厘a-4毛”の言い回し。 10 “量” 10.1 “量” 10.1.1 “量”──分数の系に対応する量/位形式として (1) 分数の系 (■,+,×) に対応する量/位形式としての“量": ((■,+),(■,+,×),×) (■,((■,+),(■,+,×),×),+) (2) この形式に同型な系としての各種“量": ((Q,+),(■,+,×),■) (S,((Q,+),(■,+,×),■),■) (3) 量の倍,量の和/差,位の昇降 10.1.2 スカラ0 (1) 位の系としての“量”を可能にするための,スカラ0の導入: (i) 〈位の基準〉としての“0” (") 〈量の零元(■増減なし")〉としての“0” 10.2 量/位計算 10.2.1 量/位の相等の判定 (1) 測定値の分数/小数の相等を判定することによって,量の相等を判定する。 10.2.2 量の和,位の移動の計算 (1) 単位uのそれぞれn/m,q/p倍になる量x,yの和を,uの(n/m+q/p)倍として捉え,n/m+q/pの計算によってこれを求める。 (2) 《二量の和が,改めて測るということをしなくとも,測定値である分数の和の計算で求められる》ことを,分数の加法導入の意義と認める。 (3) 測定値の分数が特に小数であるときの,量の和計算。 10.2.3 量の差,位の差の計算 (1) 単位uのそれぞれn/m,q/p倍になる量xとy(<x)の差がuの(n/m−q/p)倍になることを理解し,n/m−q/pの計算によってこれを求める。 (2) つぎのことを,分数の差の概念の導入の意義と認める: 二量の差が,改めて測るということをしなくとも,測定値である分数の差の計算で求められる. (3) 測定値の分数が特に小数であるときの,量の差計算。 10.2.4 量の和,位の移動の方程式を解く (1) 量の和の方程式を,分数の差の立式とこれの計算によって解く。 10.2.5 量の倍の計算 (1) 単位uのn/m倍のq/p倍になる量xを,uの(n/m×q/p)倍として捉え,n/m×q/pの計算によってこれを求める。 (2) 《改めて測らなくとも,xの測定値が分数の積の計算で求められる》──これを,分数の乗法導入の意義と認める。 (3) 測定値の分数が特に小数であるときの,倍合成の計算。 10.2.6 倍合成の方程式を解く (1) 倍合成の方程式が立てられる構造。 (2) 倍合成の方程式を,分数の商を求める問題として,計算によって解く。即ち,単位uのそれぞれn/m,q/p倍になる量xとy(<x)の商がuの(n/m÷q/p)倍になることを理解し,n/m÷q/pの計算によってこれを求める。 (3) 《倍合成の方程式を,分数の商を求める問題として,計算によって解くことができる》──これを,分数の商の概念の導入意義と認める。 (4) 測定値の分数が特に小数であるときの,量計算。 10.2.7 量の大小関係,位の順序関係の判定 (1) 自然数倍,分数/小数倍の意味に立ち返って,量の大小を比較する。 (2) 測定値の分数/小数の大小関係を判定することによって,量の大小関係を判定する。 11 比例関係 11.1 比例関係の概念 (1) 二量関係: “一方が2倍,3倍になれば,もう一方も2倍,3倍になる関係” を“比例関係”と呼ぶ。 (2) “一方が2倍,3倍になればもう一方も2倍,3倍になる”に,“一方がn/m倍になれば,もう一方もn/m倍になる”が含意されること。 (3) 比例関係が,量の系の準同型として,他の二量関係から別格化されること。 11.2 対応関係の生成 (1) 比例関係を,測定値の対応としての数の対応に表現すること。 (2) 比例関係では一つの対応からすべての対応を生成できること。 11.3 類概念としての比例関係 (1) 類概念としての比例関係。 11.4 比例関係の表現──“単位量あたりの大きさ” (1) 比例関係の表現として“単位量あたりの大きさ”を用いること。 11.5 “同じ速さ” (1) “同じ速さ”の概念を,《経過時間とそれに対応する量が比例関係にある》こととして導入する。 (2) “時/分/秒速",“毎時/分/秒”の言い回し。 11.6 密度 (1) 水の体積と重さの関係。 11.7 比例関係の問題の解法 (1) 比例関係の構造に即して,比例関係の問題を解くこと。 11.8 比例定数 数の系 (N,+,×) を作用域とする量の系((Qi,+),(N,+,×),■)とQi の単位ui(i=1,2)に対し,関数 F(u1,u2):Hom(Q1,Q2)「■Aut(N,N) をつぎのように定義する。即ち,比例関数f:Q1 「■Q2 に対しf(u1)=u2■αのとき,F(u1,u2)(f):N「■N はα倍の倍関数(“y=αx”)。 Qiの要素xにそれのuiに対する測定値を対応させる関数をui*とする(i=1,2)とき,F(u1,u2)(f) は図式: f Q1 ────「■ Q2 、 、 * * u1、 、u2 ■ ■ N ────「■ N F(u1,u2)(f) を可換にする関数として特徴づけられる。 α■Nを,u1,u2に関するfの比例定数と呼ぶ。 11.9 比例関係のグラフ (1) 単位ui■Qi(i=1,2),比例関数f:Q1「■Q2,に対するF(u1,u2)(f):N「■N のグラフ。 12 各種“量” 12.1 かさ(液量) (1) かさの概念 (2) かさの表現(数値化) (3) かさの測定 (4) かさの比較 (5) 単位“ml",■dl",■l",■kl”と単位間倍関係 (6) 計器 12.2 時間,時刻 (1) 時間,時刻の概念──位の系:(時刻,時間,数) (2) 時間,時刻の表現(数値化) (3) 時間,時刻の測定 (4) 時間,時刻の比較 (5) 時間の単位“日",■時間",■分",■秒”,単位間倍関係 (6) 時刻の単位“年",■日",■時",■分",■秒” (7) “半",“午前・午後",その他の言い回し (8) 長針・短針時計 (9) 時間直線 12.3 長さ (1) 長さの概念 (2) 距離(2点間距離)の概念 (3) 位の系:(高さ,距離,数) (4) 長さの表現(数値化) (5) 長さの測定 (6) 長さの比較 (7) 単位“■",■■",■m",■■”,単位間倍関係 (8) ものさし,巻尺 (9) “距離”に対する“道のり"(距離の積分) の概念 12.4 重さ (1) 重さの概念 (2) 重さの表現(数値化) (3) 重さの測定 (4) 重さの比較 (5) 単位“mg",“g",“kg",■t(トン)”と単位間倍関係 (6) はかり 12.5 温度 (1) 温度の概念 (2) 位の系:(温度,温度,数) (3) 温度の表現(数値化) (4) 温度の測定 (5) 温度の比較 (6) 単位“度(ン)” (7) 温度計 12.6 角度 (1) 角度(回転角の大きさ)の概念 (2) 角度の表現(数値化) (3) 角度の測定 (4) 角度の比較 (5) 単位“度(ン)",“直角(=90ン)” (6) 分度器 12.7 面積 (1) 面積の概念 (2) 面積の表現(数値化) (3) 面積の測定 (4) 面積の比較 (5) 単位“■2",■■2",■m2",■a(アール)",■ha(ヘクタール)",■■2”と単位間倍関係 12.8 体積 (1) 体積の概念 (2) 体積の測定 (3) 体積の表現(数値化) (4) 体積の比較 (5) 単位“■3",■■3",■m3",単位間倍関係 13 求積計算 13.1 長方形の求面積問題に対する分数・小数の使用 (1) 長さの単位uに対し,一辺の長さがuの正方形の面積が面積の単位に選ばれているとき,タテの長さがuのn/mで,ヨコの長さがuのq/pの長方形の面積が,面積の単位のn/m×q/p倍になること。 13.2 直方体の求体積問題に対する分数・小数の使用 (1) 長さの単位uに対し,一辺の長さがuの立方体の体積が体積の単位に選ばれているとき,三方向の三辺の長さがuのn/m,uのq/p,uのt/sの直方体の体積が,体積の単位のn/m×q/p×t/s倍になること。 14 量関係 14.1 二量の対応関係 14.1.1 対応関係 (1) 関係(対応関係)の概念 (2) 関係式 (3) 変化率 14.1.2 グラフ,表 (1) 関係グラフ,対応表 (2) ダイヤグラム 14.2 比例関係 14.3 反比例関係 14.3.1 反比例関係の概念の導入 (1) 二量関係としての “一方が2倍,3倍になれば,もう一方が1/2倍,1/3倍になる関係” を,“反比例関係”のことばで導入する。 14.3.2 対応関係の生成 (1) 反比例関係を,測定値の対応としての数の対応に表現すること。 (2) 反比例関係では一つの対応からすべての対応を生成できること。 14.3.3 類概念としての反比例関係 (1) 類概念としての反比例関係。 14.3.4 反比例関係の問題の解法 (1) 反比例関係の構造に即して,反比例関係の問題を解く。 14.3.5 反比例定数 数の系 (N,+,×) を作用域とする量の系((Qi,+),(N,+,×),■)とQi の単位ui(i=1,2),そして反比例関数f:Q1「■Q2 に対し,関数 G(u1,u2)(f):N「■N をつぎのように定義する。即ち,f(u1)=u2■αのとき, G(u1,u2)(f):ξ ■■ α×ξ-1 Qiの要素xにそれのuiに対する測定値を対応させる関数をui*とする(i=1,2)とき,G(u1,u2)(f) は図式: f Q1 ────「■ Q2 、 、 * * u1、 、u2 ■ ■ N ────「■ N G(u1,u2)(f) を可換にする関数として特徴づけられる。 14.3.6 反比例関係のグラフ (1) 単位ui■Qi(i=1,2),反比例関数f:Q1「■Q2,に対するG(u1,u2)(f):N「■N のグラフ。 14.4 二量と一量の対応関係 (1) 複比例関係(関数) (2) 長方形のタテの長さとヨコの長さの対にこの長方形の面積を対応させる関数が複比例関数: 長さ×長さ「■面積 であること。 V 統計,確率 15 統計 15.1 データ作成 (1) 項目 (2) 値(度数) (3) 比(割合) 15.2 サンプリング,推定 (1) 母集団 (2) サンプリング,推定 15.3 概数 (1) “概数”の概念──“実効数/有効数” (2) 概数化法──四捨五入,切り上げ,切り捨て 15.4 平均 (1) のべ (2) 平均 15.5 表,グラフ (1) 表の次元 (2) 計算表 (3) 度数グラフ──棒グラフ (4) 割合グラフ──帯グラフ,円グラフ (5) 度数分布グラフ──柱状グラフ (6) 度数変化グラフ──折れ線グラフ (7) 折れ線の傾きと変化率 16 確率 16.1 場合の数 (1) 順列 (2) 組合わせ 16.2 確率 |