つぎの問題は,ふつうにありそうな問題である:
- 決まった軌道を運行しなければならない。
しかも,各経過時間に対しそのとき通過する地点が決められている。
この運行を実現するには,どんなふうに運転していったらよいか?
- 運転をこのようにしていこうとする。軌道はどのようになるか?
特に,各経過時間に対しそのとき通過する地点はどのように決まっていくか?
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ここで,軌道を<経過時間─移動距離>に,運転を<経過時間─速さ>に,それぞれ表現する。
このとき上の問題はつぎのようになる:
- 与えられた<経過時間─移動距離>を実現するには,<経過時間─速さ>がどのようであればよいか?
- 与えられた<経過時間─速さ>は,どのような<経過時間─移動距離>を現すか。
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この問題を考える中で,解決の手法が自ずと得られてくる。
これが,微分・積分である:
- <時間─距離>から<時間─速さ>を導き出すとは「<時間に対する距離の変化の形>から<時間に対する距離の変化率>を求める」ことであり,そしてこの手法になるのが「微分」である。
- <時間─速さ>から<時間─距離>を導き出すとは「<時間に対する距離の変化率>から<時間に対する距離の変化の形>を求める」ことであり,そしてこの手法になるのが「積分」である。
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微分と積分は,<変化の形>と<変化率>の間の方向が逆になっている。
また,つぎのようになる:
<時間─距離>f |
─微分→ ←積分─ |
<時間─速さ>g |
「微積分」の学習の要点は,「微分と積分は逆の関係にある」がわかることである。
そして,ここで示した「逆」が,「微分と積分は逆の関係にある」のイメージになるものである。
「微分と積分は逆の関係にある」の意味がわかったところで,<距離─時間>と<速さ─時間>の話をさらに形式化する。
すなわち,関数の話にする:
- 関数fに「微分」(「変化の形から変化率を求める」) の方法を適用して新しい関数を導くことを,「fの微分」という。
- 関数fに「積分」(「変化率から変化の形を求める」) の方法を適用して新しい関数を導くことを,「fの積分」という。
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<変化の形>と<変化率>の間の方向を逆にするこの微分・積分では,さらにつぎのようになる:
そして以上が,関数の話に形式化されたときの「微分・積分」における「微分と積分は逆の関係にある」の意味である。
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