Up 運動を関数に 作成: 2010-10-26
更新: 2010-10-26


    数学は,形式の学である。 形式としていろいろなことに使えそうなもの,ものごとの体系化に役立ちそうなもの,意味深なもの,含蓄の豊かなもの,おもしろそうなもの,等々を,数学としてつくる。

    一般に,形式の素材は<卑近>である。
    微積分は,運動解析を<卑近>にして,これの形式を数学にしたものである。

    <卑近>から形式を抽出することの意義はいろいろあり,これについて論じ始めれば簡単な内容では済まない。 そこでここでは,<運動解析 → 微積分>の数学化の場合によくあてはまるつぎの2点をあげておく:
    • 形式の抽出が,本質の抽出になっている。
    • 形式の抽出は,「この形式をもつもの/もてるもの」の対象化に進む。そして,物事の新しい関係づけに進む。

    <運動解析 → 微積分>の数学化は,運動を関数に変え,運動解析を関数解析に変えるものである。 ──対象とする関数は,実数が定義域・値域の関数:D → (D ⊂ )。

    このとき,運動解析の
      「<時間─距離><時間─速さ>」
    は,関数fに関するつぎのものになる:
      「fの原始関数fの導関数」
    「互いに他を導く二つの対象」の形を,「一つの対象から導かれる二つの対象」の形に変えることになるわけである。