11.7.1 測定値の決定──測定値の恣意性と妥当性



 測定値は,決められる

 測定値には“正確”も“おおよそ”もない。測定値を(“真の値”に対する)“近似値”であると言うこともできない。測定が物理の上の事態である以上,“真の値”は原理的にあり得ない。そして,“真の値”のないところには,道理として,“正確",“おおよそ",“近似値”といったことばは立たない。

 測定値は,選択が可能な域の中から一つに決められる。そのときの選択域がどのようになっていて,そしてどのように測定値が決められるかは,実践の(即ち,ケ−ス・バイ・ケ−スの)問題である。それは,目的と状況に依存する。特に,選択には基準がある(基準が考えられている/意識されている)場合もあり,ない場合もある。

 測定値は,ひとの都合で決められる。“有効/実効値”と言うときの“有効/実効”の意味は,“都合に適う”である。したがって,測定値は,現実的なもの──即ち,生活実践の中のもの──である限り,《有効/実効値である》ということをそれの含意とする。測定値は,有効/実効値として決められる。測定値の妥当性の基準は,“正確”ではなく,有効/実効性である。