2.2.2 〈読み〉の恣意性
モノに量を読むこと──モノの属性として量を対象化すること──は,ひとの恣意である。量は,モノの含意ではない。ひとが,モノの上に量の読みを投企するのである。
そこで特に,一つのモノに対し異なる量(カテゴリー)を読むことが可能である。また逆に,異なるモノに同じ量(カテゴリー)を読むことが可能である。
例えば,一つの事態としての物体の落下に対し,ひとは“時間",“距離",“速度",“重さ",“力”といった色々な量(カテゴリー)の読みをすることができる。また,つぎのような異なる事態に対して,ひとは等しく“重さ”という読みをすることができる:
- ゴムひもに物をつるすとひもが伸びる
- バネの上に物をのせるとバネが縮む
- シーソー遊び
- 将棋倒しの下敷きになって苦しい
- 両手の荷物のバランス
- そばを車が通り過ぎるときの地響