3.3.1 順序位相




 順序構造を伴う数の系 (N,+,×,≦) に対しては,それの標準的な位相として,≦に関する順序位相を考える。即ち,Nの各要素ξに対し,ξの近傍系の基をξを含む開区間(註1)全体UO(ξ)(註2)と定める(註3)

 ξ∈Nとρ∈N+∩N*に対し,開区間U(ξ,ρ)をつぎのように定める:
  1. ξ−ρが定義されるときは,開区間 〕ξ−ρ,ξ+ρ〔


  2. そうでないときは,開区間 〕←,ξ+ρ〔


U(ξ,ρ) はUO(ξ) に属する──これをξのρ-近傍と呼ぶ。ρがN全体にわたるときのU(ξ,ρ) は順序位相に関しξの基本近傍系を成す(註4)

 また,(N,+) が群であれば,NからNへの写像:
ξ −ξ

は連続(註5)。特に,(N,+,≦) は順序位相群。



(註1) 開区間の表現を,ここではつぎのようにする:
  1. ξ<ηに対し
    〕ξ,η〔 ={θ|ξ<θ<η}

  2. 〕ξ,→〔 ={θ|ξ<θ}

  3. 〕←,ξ〔 ={θ|θ<ξ}
(註2) UO(ξ) の導入を〈存在〉の導入のように考える必要はない。UO(ξ) の導入は記号“UO(ξ)”の導入であり,そしてこの記号は,《“V∈UO(ξ)”は“Vはξが属する開区間”の言い換えである》として定義されるところのものである。

(註3) 明らかにつぎのことが成り立つ:
  1. V∈UO(ξ) ξ∈V.
  2. 1,V2UO(ξ)に対し,V⊂V1,V⊂V2であるようなV∈UO(ξ)が存在する.
  3. V∈UO(ξ)は,つぎの条件を満たす或るW∈UO(ξ)を含む:《各η∈Wに対し,V1UO(η) かつV1⊂VとなるV1が存在する》.
(“⊂”は,“S⊂T”を“ξ∈S ξ∈T”と読ませるところの記号。)そして,(1),(2),(3) は,UO(ξ) をξの基本開近傍系とするような位相Oを一意的に決めるところの条件である。Oは順序位相と呼ばれる。

(註4) 〕η,ζ〔 ∈UO(ξ) は,ρ=min{ξ−η,ζ−ξ}に対するU(ξ,ρ) を含む。 〕η,→〔 は,ρ=ξ−ηに対するU(ξ,ρ) を含む。 〕←,ζ〔 は,ρ=ζ−ξに対するU(ξ,ρ) を含む。

(註5) U(−ξ,ρ) は,この写像によるU(ξ,ρ) の像と一致する。実際,η<ξ+ρならば (−η)+ρ=ξ+ρ+(−ξ)+(−η)>η+(−ξ)+(−η)=−ξ。η+ρ<ξならば,−η=ξ+(−ξ)+(−η)>η+ρ+(−ξ)+(−η)=(−ξ)+ρ。