6.1.1 “量の系”であることの要件
“数の構成”の主題のもとで実現された数の系は,無意味である。これの第一階の意味づけは,“作用素の系”として,一つの系の中に埋め込むことである。数の系の意味づけとなるこのような系を,差し当たり“量の系”と読む。
実際,われわれは“量の系”を,数の系Nに対応して決まるつぎのような系Qのことであると定めよう:
- Nが〈係数の系〉としてQにおいて機能し,
かつこのことによって
- NがQの所期の要素を求める計算の手段になる.
この“量”の概念は,日常的な“量”の概念の著しい一般化になる。例えば,
《2次元の数ベクトルに対する複素数の作用を主題化することは,一つの量の系を主題化することに他ならない》
といった具合になる。しかし本論考では,複素数が〈係数の系〉としてその上で機能するような系をも“量”と呼ぶことを敢えて選ぶ。